永江朗『書いて稼ぐ技術』(平凡社新書 2009)を読む。
タイトル通り、著者本人の実体験に基づく、フリーのライターして生活していくための細かいノウハウがまとめられている。
編集者との顔のつなぎ方や、仕事の進め方、ゴーストライターとしての書き方などにも触れられている。
「読書術」という章が印象に残ったので、引用してみたい。
資料の基本は本です。どんな本を読むかによって、フリーライターの仕事の質は決まります。趣味で読むのではありませんから、好きな本だけ読んでいればいいというものでもない。ときには苦手なジャンルや嫌いな人の本も読まなければなりません。苦痛でも退屈でも、我慢して読むしかありません。
フリーライターとして仕事をするときは、同じテーマの同じような本を大量に読むことをおすすめします。同じような本を何冊も読むのはムダなことのように思えるかもしれませんが、ムダなようなことを敢えてすることによって見えてくるものもあります。
同じテーマの本をたくさん読んでいると、そのテーマに関する本質が見えてきます。私はこの現象を「球が止まって見える」と呼んでいます。松井やイチローにとってピッチャーの投げたボールが止まって見えるように、そのテーマの本質が見えてくるのです。
似たような本であっても、著者が違えば主張がいかに他と違っているかを訴えようとしますから、少しずつ違っているんだけれども、共通しているところもたくさんあります。その共通しているところが、同じテーマの本を読むことによってだんだん絞られてきます。そのテーマについての最大公約数的なもの、それが「本当のこと」といっていいでしょう。