加藤功甫、田澤儀高『ユーラシア大陸横断自転車2万キロの旅』(エイ出版社 2012)を読む。
横浜国立大学の大学院生の2人による、ポルトガルから日本までの11か月に及ぶ自転車旅行記である。
旅の途中でもスカイプで週に1回日本のラジオに出演したり、ブログを日々更新したり、WiFiのある部屋に泊まったりと、昨日読んだ1980年代後半のアナログな旅事情とは大きく雰囲気を異にしていた。世界各地での現地の人たちとの交流エピソードと子供たちの笑顔や綺麗な風景の写真が中心となっている。二人の会話体で話が展開していくので、あっという間に読み終えた。
しかし、延々と拡がる砂漠や爆風の中を往く過酷な旅なのだが、どこかしら「猿岩石」のヒッチハイクのような、箱庭的な冒険という印象は拭えなかった。いつでもどこでもコミュニケーションが取れるデジタルツールの進化のためか、誰一人としていない地平線の彼方まで続く道を行く孤独な旅が、ブログのネタ探しにスケールダウンをしてしまっている。
果たして我々はこの事実にどう向き合えばよいのか。
『ユーラシア大陸横断自転車2万キロの旅』
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