桜井哲夫『〈自己責任〉とは何か』(講談社現代新書 1998)を半分ほど読む。
10年以上前に購入した本だが、ここ数ヶ月、テレビニュースなどで「自己責任」や「説明責任」という言葉を耳にすることが多く、気になって本棚の奥から引っ張り出してきた。冬山のスキーでコース外を滑走して遭難した人たちやシリアに行ってISILに捕縛された人たちに対して、「自己責任」という厳しい言葉が投げつけられる。また、違法性の高い献金を受け取っていながら、「知らなかった」で済まして「説明責任」を果たしたという政治家
筆者は、「自己責任」という言葉の背景には、個人が責任を取らなくてもよい無責任な社会の構造があると指摘する。特にタテ社会や公務員体質においては、全ては「上の責任」、「前任者の責任」として片付けられてしまい、当事者の無責任な言動へと繋がっていく。
責任という言葉の定義や由来を、参考文献を挙げながら丁寧に説明しているのだが、引用が多すぎる余り筆者の主張がいまいち明確に伝わってこなかった。