『グッバイ、レーニン!』

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ヴォルフガング・ベッカー監督/脚本『グッバイ、レーニン!』(2003 独)を観に行った。
ベルリンの壁崩壊直前に意識を失った熱心な社会主義運動の指導者であった母と壁崩壊後西ドイツの華やかさに心を奪われつつある息子の二者を中心として物語は展開する。壁が崩壊してしばらく経ってから意識を回復した母を悲しませまいと、東ドイツが健全に成長前進していると思い込ませようとする息子アレックスは、いつしかレーニンの描いた真のそして幻の共産主義国家を巧みに演出していく。疲弊する競争社会、大量消費社会に辟易した西側の市民が雪崩を打って東側に逃げ込んでいくというアレックスが作った偽ニュースには笑った。また混乱する母の眼前を資本主義の象徴であるコカコーラの宣伝と、共産主義の象徴であるレーニン像の残骸が行き交う場面もついにやりとしてしまう。
しかし、共産主義を経験した大人と全く知らずに育ったヨーロッパの若者との間で着実に世代ギャップが生じつつある現実が思い出される。つい先日EU拡大に狂喜乱舞するポーランドやバルト三国の市民の姿をテレビで見たばっかりだが、EUはこうしたアイデンティティの喪失といった問題をトルコや中央アジア諸国の加盟の際にも抱えていかねばならない。

□ 映画『グッバイ、レーニン!』 日本版公式ホームページ □

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