埼玉新聞一面より

本日の埼玉新聞一面に、今月埼玉県上尾市にある聖学院大学の学長に就任した姜尚中氏のインタビュー記事が掲載されていた。
大変示唆深いコメントがあったので、掲載してみたい。

姜氏は「埼玉の印象は」という記者の質問に対して次のように答えている。

県内でも、東京に近い所と離れた所で違いが大きいが、総じて東京の磁力が非常に強い。まるで(車輪の)スポークとハブのように、県内移動でも東京を経由した方が早い場合があるほど。東京の影響力が大きく、アイデンティティーが見失われやすい地域
やや飛躍するが、浦和レッズの件(差別的横断幕事件)も、「ジャパニーズオンリー」と書きたい気持ちの裏側には、埼玉という地域が固有のアイデンティティーを見いだし得ないもどかしさがあるのではなかろうか。

「地元」というアイディンティティーが壊れてしまった東京郊外において、一気にいびつな国家主義へと流れてしまう危険性が指摘されている。特に10代〜20代の若者はあらゆる場面において自己肯定感を与えていかないと、いわゆる「自分探しの旅」から巡り巡って偏狭なナショナリズムへと流れかねない。
ヘイトスピーチや四国での差別張り紙などの事件の記事を読むにつけて、若者のアイデンティティーを保障するような教育の必要性を感じる。先生との関係やクラスの友人、部活の先輩後輩関係、地域での年齢を超えた活動など、生徒の他者や社会、自己との「関係性」を育む教育を目指したい。

姜尚中氏は、「どんな大学を目指すか」という質問に対して、次のように答えている。

本大学の目玉の一つである人文学部の日本文化学科に「埼玉学」を開講するとともに市民講座も始める。埼玉にはさまざまな歴史、土地の記憶がうずもれており、急速に失われつつある。歴史、文化、芸術、国際関係など多様な視点から埼玉のアイディンティティーを掘り起こし、教育に反映させたい。

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