参院選無効と文民統制逸脱

本日の東京新聞夕刊の一面トップは、今夏の7月の参院選の岡山選挙区一票の格差を巡って、参院選初の無効判決が出された記事が

共同通信編集委員の石井暁氏の解説がよくまとまっていた。引用してみたい。
陸上自衛隊の秘密情報部隊「別班」が独断で行ってきた海外活動は、政府や国会が武力組織を統制して暴走を防ぐ文民統制(シビリアンコントロール)を無視するもので、民主主義国家の根幹を脅かす。
これまで元別班員らが出版などを通じ、冷戦時代の活動の一端を語ったことがあるが、防衛省と陸自は別班の存在すら認めてこなかった。
今回、陸自トップの陸上幕僚長経験者と、防衛省で軍事情報の収集や分析を統括する情報本部長経験者らが別班の存在を認め、海外展開を初めて明らかにした。
万が一発覚した場合に備え、陸幕長にも海外の展開先や具体的な活動内容をあえて知らせず、自衛官の身分を離れて民間人などを装った佐官級幹部が現地で指揮する。
首相や防衛相が関知しないまま活動する不健全さは、インテリジェンス(情報活動)の隠密性とは全く異質で「国家のためには国民も欺く」という考えがあるとすれば、本末転倒も甚だしい。
関東軍の例を挙げるまでもなく、政治のコントロールを受けず、組織の指揮命令系統から外れた部隊の独走は国の外交や安全保障を損なう恐れがあり、極めて危うい。
日米同盟を強化し、機微な情報を共有するには秘密保全が必要だ、とする政府は、国家安全保障会議(日本版NSC)発足と特定秘密保護法案の成立を急いでおり、その先に米中央情報局(CIA)のような対外情報機関の新設も見据えている。
だが、特定秘密保護法案は恣意的な運用の歯止めがなく、別班のような「不都合な存在」は歴史的経緯も含め、永久に闇に葬られる懸念がある。
別班に目をつぶったまま、秘密保全や対外情報活動の強化を進めるのは公明正大さを欠く。政府と国会は別班の実態を徹底的に調べて国民に明らかにし、民主国家の基本原理である文民統制の機能回復を図る責任がある。

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