本日の東京新聞の夕刊の一面は、昨日の秋葉原での通り魔殺人事件をデカデカと報じている。
東京新聞夕刊の記事より
東京都千代田区外神田四の秋葉原電気街で八日午後零時三十分ごろ、トラックが歩行者天国の路上に突っ込んで人をはね、車から降りてきた男が両刃のダガーナイフで通行人や警視庁の警察官を次々に刺した。男女七人が死亡、十人が重軽傷を負った。男は約五分後に同庁万世橋署員らに取り押さえられ、殺人未遂の現行犯で逮捕された。
捕まったのは、静岡県裾野市富沢、派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)。調べに対し「人を殺すために今日、静岡から秋葉原に来た。誰でもよかった」「生活に疲れ、世の中が嫌になった」「秋葉原には何度か来たことがあり、人がたくさんいるので選んだ」と供述。さらに携帯電話サイトの掲示板に犯行を予告する書き込みをしたことを認めているという。同庁捜査一課は同署に捜査本部を設置し、殺人容疑に切り替えて詳しい動機を調べている。
警察庁によると、通り魔事件としては過去十年で最悪の被害とみられる。
この非道な事件に対し、関西学院大学教授の野田正彰氏は次のように述べる。
1990年代終わりから自殺が増加したが、格差社会で暮らす男たちの絶望感、挫折感は自己への攻撃性に向かっていった。しかし攻撃性が徐々に「世界がなくなれ」という他者へ向かっている印象を受ける。社会は、事件を起こした加害者の動機を解明し、事件の背景を受け止めアクションを起こさねばならない。この姿勢が犯罪の予備軍に対し、犯行を思いとどまらせるメッセージとなる。格差を改善する社会づくりを進めないと、同じ事件は今後も起こりかねない。
他の識者が社会抑止力の低下や事件当時の容疑者の精神状態など、表面的な主張にとどまっているのに対し、野田氏は一歩踏み込んで犯罪者を生んだ日本社会の土壌にまで分析を加えている。確かに20代後半から30代の男性の抱える絶望感は他の年代には理解できないものであろう。失われた十年と生涯雇用の 狭間で 他の年代はうまくやっている バブル世代