プロメシアス研究所編『米国公認会計士(CPA):4人の夢実現物語』(レゾナンス 2000)を読む。
昨今の国際会計基準は「連結会計」「時価評価」「キャッシュフロー計算書」など企業のディスクロージャーを第一義とする。しかしIMFなど米国流の会計基準とムーディーズなどの格付け
月別アーカイブ: 2004年5月
『大学自治の歴史』
伊ヶ崎暁生『大学自治の歴史』(新日本新書 1965)を何年かぶりに読み返す。
戦前の滝川事件や戦後の東大ポポロ事件などを一貫して学生大衆、教員組合の視点から批判を加える。特に戦後、自民党政権は連綿として、池田内閣の所信表明の「国づくりの根元たる人づくり」スローガンに象徴されるように、将来の日本を背負っていく「学生のため、生徒のため」という錦の旗を振って、大学自治の歴史を破壊してきたカラクリは押さえておく必要があるだろう。
『世界の宗教』
村上重良『世界の宗教:世界史・日本史の理解に』(岩波ジュニア新書 1980)を読む。
世界史や日本史の教科書を読むと、政治の流れを軸にして宗教が語られる。そして得てして時の政権に楯突く宗教団体(清末の太平天国の乱や加賀の一向一揆など)は反乱分子のように描かれがちである。しかし宗教の発展を軸に政治を眺めてみると逆に今度は政治の横暴さが立ち現れてくる。
『グッバイ、レーニン!』
ヴォルフガング・ベッカー監督/脚本『グッバイ、レーニン!』(2003 独)を観に行った。
ベルリンの壁崩壊直前に意識を失った熱心な社会主義運動の指導者であった母と壁崩壊後西ドイツの華やかさに心を奪われつつある息子の二者を中心として物語は展開する。壁が崩壊してしばらく経ってから意識を回復した母を悲しませまいと、東ドイツが健全に成長前進していると思い込ませようとする息子アレックスは、いつしかレーニンの描いた真のそして幻の共産主義国家を巧みに演出していく。疲弊する競争社会、大量消費社会に辟易した西側の市民が雪崩を打って東側に逃げ込んでいくというアレックスが作った偽ニュースには笑った。また混乱する母の眼前を資本主義の象徴であるコカコーラの宣伝と、共産主義の象徴であるレーニン像の残骸が行き交う場面もついにやりとしてしまう。
しかし、共産主義を経験した大人と全く知らずに育ったヨーロッパの若者との間で着実に世代ギャップが生じつつある現実が思い出される。つい先日EU拡大に狂喜乱舞するポーランドやバルト三国の市民の姿をテレビで見たばっかりだが、EUはこうしたアイデンティティの喪失といった問題をトルコや中央アジア諸国の加盟の際にも抱えていかねばならない。
□ 映画『グッバイ、レーニン!』 日本版公式ホームページ □