遥洋子『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』(筑摩書房)を読む。
東大でのゼミの奮闘記である。内容的には何もないのだが、何となく「アカデミズム」に触れた気がしてしまうのは、時折上野千鶴子の文章が名言のように挿入されるからだ。
「マルクス主義フェミニストの課題は、資本制下の家父長制という歴史的に固有な相における、女性の抑圧を解明することに向けられる。」
「『愛』とは夫の目的を自分の目的として女性が自分のエネルギーを動員するための、『母性』とは子供の成長を自分の幸福と見なして献身と自己犠牲を女性に慫慂することを通じて女性が自分自身に対してより控えめな要求しかないようにするための、イデオロギー装置であった。」(上野千鶴子『家父長制と資本制』)
それにしても東大のゼミはこれほど忙しいものなのか、恐らく実態は異なるのであろうが、いささかの驚きは隠せない。