村田喜代子『12のトイレ』(新潮社,1995)をパラパラと読む。
作者は1945年に福岡県北九州市八幡で生まれ、1987年に芥川賞を受賞している。
本書はトイレをモチーフにして、村田さん自身の小中学校時代から成人までの思い出がエッセーとしてまとめられている。正直面白くなかったが、男性よりも女性の方がトイレに対する思い強いことが分かった。女性はトイレでの友人との交流やトイレに籠ることの安心感、逆に、トイレに入っている最中も見られるかもしれないという不安感などを感じやすい。また、大人への階段である生理の際もトイレが舞台となる。
「読書」カテゴリーアーカイブ
『地球科学のすすめ』
牛来正夫編『地球科学のすすめ』(筑摩書房,1970)を手に取ってみた。
編者の牛来(ごらい)さんは、東京高師を卒業され、執筆当時東京教育大学で教授を務めていた。Wikipediaによると、東京教育大学の「筑波移転」に反対の立場から、定年を待たず同大学を退官されたとのこと。
疲れのためか、中身は全く頭に入ってこなかった。
まえがきの冒頭に次の一節がある。時代を感じる一文である。
約一年前、筑摩書房編集部の方が、この本の話をもってこられたところ、私の勤め先の大学は、二年越しの「紛争」の最中でした。
『王ジャパン、野球世界一への道』
石川保昌『王ジャパン、野球世界一への道』(河出書房新社,2007)を手に取ってみた。
著者もあとがきの中で述べているように、著者自身の個人的な理由もあり、王貞治率いる日本代表が世界一となった2006年のWBCから丸1年経ってから刊行された本である。実際にイチローや松坂が活躍したWBCを観戦した人が、当時の興奮を振り返るといった内容となっており、当該以外の者が読んでも面白いものではなかった。
『月下上海』
第20回松本清張賞受賞作、山口恵以子『月下上海』(文藝春秋,2013)を読む。
小説だったので、久しぶりにじっくり読んだ。戦前の日露欧米の租界であった上海を舞台にした小説である。前半は日中戦争が始まっても浮世離れした上海の街の模様が中心に描かれる。登場人物と一緒に旅行しているような気分になって面白かった。財閥のもつ政治力や憲兵の暗躍などのシーンも、時代考証に沿っており興味深かった。しかし、後半の人間ドラマの部分になるとイマイチ感は否めなかった。
『変成岩と変成帯』
都城秋穂『変成岩と変成帯』(岩波書店,1965)をパラっと眺める。
著者は冒頭で、変成岩の定義付けに対して異論を呈している。
火成岩は、ケイ酸塩を主成分とするマグマのなかから結晶した鉱物の集合体である。マグマの結晶作用は、地表で急速に冷却しておこることもあるし、地下でゆっくりと起こる場合もある。また、堆積岩とは、地表またはそれに近いところで風化され、破砕、分解され、その物質が水や空気によって運ばれて、どこかに堆積して生じた岩石である。
そして、火星岩や堆積岩が、それらが最初にできたときとは違う温度、圧力、そのほかの条件のもとにおかれると、鉱物組成や組織に変化が起ころうとする。その変成作用を受けた岩石が広い意味で変成岩である。著者はその変成作用の定義の幅に異論を投げかけている。
また知らなかったことだが、変成岩を形成する一要素である造山運動とは、文字の意味は山を造る運動であるが、実際は地殻を変形して褶曲や逆断層などを生じ、火成活動や広域変成作用をおこし、大陸地殻を形成する作用なのである。
あとは化学式がたくさん出てくる研究書なので、読み進めることはできなかった。