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『変成岩と変成帯』

都城秋穂『変成岩と変成帯』(岩波書店,1965)をパラっと眺める。
著者は冒頭で、変成岩の定義付けに対して異論を呈している。
火成岩は、ケイ酸塩を主成分とするマグマのなかから結晶した鉱物の集合体である。マグマの結晶作用は、地表で急速に冷却しておこることもあるし、地下でゆっくりと起こる場合もある。また、堆積岩とは、地表またはそれに近いところで風化され、破砕、分解され、その物質が水や空気によって運ばれて、どこかに堆積して生じた岩石である。
そして、火星岩や堆積岩が、それらが最初にできたときとは違う温度、圧力、そのほかの条件のもとにおかれると、鉱物組成や組織に変化が起ころうとする。その変成作用を受けた岩石が広い意味で変成岩である。著者はその変成作用の定義の幅に異論を投げかけている。

また知らなかったことだが、変成岩を形成する一要素である造山運動とは、文字の意味は山を造る運動であるが、実際は地殻を変形して褶曲や逆断層などを生じ、火成活動や広域変成作用をおこし、大陸地殻を形成する作用なのである。

あとは化学式がたくさん出てくる研究書なので、読み進めることはできなかった。

『完全図解 気象百科』

櫃間道夫『完全図解 気象百科』(オーム社,2004)をパラパラと読む。
著者は気象庁の観測部長をなどを歴任して退職後、東京電力で気象予報の勤務されていた。
本書は東京電力時代の講座がまとめられており、送電線の着雪や鉄塔倒壊に至る風の強さなど、電力会社向けの内容なども含まれている。

低気圧の雨は、上空では、夏でも雪です。地上に届くまでに融けるかどうかは、大気下層(地上〜約2km)の気温に依存します。

ジェット気流と呼ばれ、冬には航空機の巡航高度(約1万m)で秒速100mくらいにもなります。冬の香港→成田は、成田→香港の所要時間の4分の3になってしまいます。

沖縄の島々の夏は、気温はハワイよりも1〜2℃高く、さらに湿度が15ポイントも高いのです。この湿度の差は大差です。
緯度ではハワイよりも5°(距離にして500km)北にある沖縄が蒸し暑いのは、やはり暖流黒潮の影響です。ハワイはむしろ、寒流カリフォルニア海流がようやく暖流に変わり始めるあたりに位置しています。
黒潮の影響は沖縄に留まらず、(中略)梅雨明け後の東京は、気温がホノルルより0.5℃低いだけで、湿度は10ポイントも高く、まさに熱帯です。

『天文学者のノート』

古在由秀『天文学者のノート』(文藝春秋 1984)をパラパラと読む。
天文学の学問的な内容はなく、旧制中学の受験から始まり、東京大学理学部天文学科を卒業して、東京天文台に就職した後の経歴が、分かりやすく綴られている。天文学の第一人者の著者も最後は、天文学者が少ないために、天文学も教える人がおらず、天文学に興味を持つ高校生や大学生も減っている現状を嘆いている。

『天文台日記』

石田五郎『天文台日記』(ちくま少年図書館,1972)を少しだけ読む。
極めて読みにくい文章であった。一応日記という体を取りながら、岡山天体物理観測所での日常生活と学問的な問題がごちゃごちゃに紹介される独りよがりな内容で、1ページ目から全く頭に入ってこなかった。

ただ、岡山県の観測所を「日本で最高の気象条件を選んで建てられた天文台」と評している一文だけ目に入った。確かに瀬戸内海式気候で、夏も冬も降水量が少ない地域である。特に岡山県降水量1mm未満の日数が全国第1位で「晴れの岡山」とも呼ばれている。観測所のある岡山県の年間降水量は1,190㎜で、長野県の902mmに次いで、日本で2番目に降水量が少ない県である。

『温暖化する地球』

田中正之『温暖化する地球』(読売新聞社,1989)をパラパラと読む。
必要なところを抜書きしておきたい。

46億年の地球の歴史のうちでも、およそ6500万年前から今日に至るまでの時代は、新生代と呼ばれています。その前半はヒマラヤやアルプスの造山活動が活発に行われた時代でした。そして、新生代も末期の、今からおよそ200万年ほど前になると、しだいに氷期と間氷期が交互に訪れるようになります。
人類が地球上に生まれたのは、今からおよそ300万年ほど前のことだっといわれていますから、人類の黎明期は、氷期と間氷期のサイクル(およそ10万年ごと)が始まった時期、すなわち氷河時代の始まりと前後していることになります。

(中略)(氷期の最も寒冷だったときと間氷期や後氷期の最も温暖だったとき)の差は、地球の平均気温に換算すれば、約5℃の違いと見積もられています。ほんのわずかな温度差のように感じるかもしれません。実は、氷期といっても、大きく寒冷化するのは主に中緯度や高緯度の地帯であり、赤道近くでは、氷期でも間氷期とほとんど気温の差がありません。そのため、、全地球の平均気温で比較した場合には、氷期と間氷期の違いは、5℃程度にしかならないわけです。

もっとも寒かった時期は、今からおよそ1万8000年前にあたります。(中略)北米大陸の北半分は、完全に氷床に覆われています。グリーンランドはもちろんのこと、ユーラシア大陸でも、スカンジナビア半島からタイミル半島にかけて広大な氷床がつづいています。堆積した氷の量はとほうもないものでした。氷の厚さは1000メートルを超え、中央部では、3000メートルに達していました。そのため、海面は現在よりも100メートルも低下していました。海水100メートル分の水が、氷床として、北米大陸やグリーンランドに堆積していたわけです。

ところが今から1万年ほど前になると、これらの氷は急速に解けはじめます。(中略)氷床の重みで沈んでいたスカンジナビア半島は、その重しがとれたために、その後だんだん浮上してきます。中心部はすでに300メートルほど隆起し、現在でも毎年数ミリメートルの速さで隆起しつづけています。

今から4500年前から7000年ほど前、ヒプシサーマル(温暖期)と呼ばれている時代がありました。これは、ここ1万年ぐらい続いている後氷期の中で、最も気温が高かった時代です。日本では縄文時代の前期にあたります。
この温暖期には、現在とくらべて地球の平均気温が0.5度ないし1度程度高かったことが知られています。たかだか1度程度の違いにすぎませんが、その時期には、世界各地の気候の様子が今とはかなり違っていたことが、花粉の分析などから明らかにされています。
たとえば、アフリカのサハラ砂漠は、現在ではほとんど雨の降らない不毛な土地ですが、当時はもっと湿っていて、豊かな草原があり、樹木も生え、大型の野生動物も棲息していたことが推定されています。このことは、サハラ砂漠の中に残っている先住民の遺跡などからも確かめられています。その状態は「緑のサハラ」と呼ばれています。
また、北半球の中緯度地帯の多くは、今よりももっと乾燥していたことも知られています。