地理」カテゴリーアーカイブ

「トンガ沖噴火 太平洋側 各地に津波」

授業で紹介した本日の東京新聞朝刊から。
トンガといっても馴染みの薄い国である。イギリスの保護領だったので英語が公用語となっており、オーストラリアやニュージーランドとの関係が深い。人口10万人、一人当たりのGNIは5,000米ドル(2019年、世界銀行)であり、経済的には中レベルである。日本の支援が多く、オーストラリアに次いで、2018年度には約30億円の無償資金協力を行っている。

授業中に紹介したが、トンガは環太平洋造山帯に位置しており、火山や地震が多いことは十分に予測されたことである。海底火山だったので、何の前触れもなく火山と地震と津波が同時に発生したようである。日本でも伊豆・小笠原海溝付近での海底火山活動が勢いを増しており、対岸の火山(火事)では済まされない。

 

「サウジアラビア 緩む宗教規則」

本日の東京新聞朝刊記事より。
イスラム教スンニ派の盟主であるサウジアラビアで、観光に力を入れる方向でコーランに基づく宗教規則が緩和されているとの記事が掲載されていた。サウジアラビアにはイスラム教の三大聖地のうち、イスラム教の創始者ムハンマドの生誕地メッカとムハンマドの墓地があるメディナ の2つがある。

少し復習したい。サウジアラビアは人口3,427万人、国土は215万平方キロで日本の5.8倍の面積である。一人当たりのGDPは20,180ドルであり、日本の半分ほどであるが、税金が少ないので平均的な日本人と同レベルの生活水準である。世界最大級の石油埋蔵量、生産量及び輸出量を誇るエネルギー大国であり、輸出総額の約9割、財政収入の約8割を石油に依存している。

このサウジアラビアが脱化石燃料の世界的な流れを受けて、原油から工業や観光へと軸足を移しつつある。その過渡期が模様が報じられている。日本とも貿易面で関係が深い国であるので、サウジアラビアとの経済的関係を深める好機でもある。この記事を読まれた高校生の皆さん、アラビア語を学んでみませんか。

「ウラン価格が急騰」

本日の東京新聞朝刊に、中央アジアのカザフスタンでの騒乱を受けて、原子力発電所の原料となるウランの価格が急騰しているとの記事が掲載されていた。記事を読むと、騒乱拡大が報じられた日、前日より8%も価格が上昇している。

ウランの埋蔵量に関する情報自体が少なく、ネットを調べてみても古い情報や信憑性の薄い情報が氾濫しており、データもバラバラである。国際原子力機関(IAEA)が発表したデータによると、ウランの埋蔵量は以下のようになっている。カザフスタンは世界第2位の埋蔵量だが、オーストラリアの約半分である。

記事にもある通り、オーストラリアから安定的に供給できるのであれば、日本の大手電力会社でつくる電気事業連合会が出した「安定確保が可能」というコメントは妥当性が担保されたものである。

世界のウラン埋蔵量ランキング

国名 2019年1月現在
kgU
オーストラリア 1,692,700 28%
カザフスタン 906,800 15%
カナダ 564,900 9%
ロシア 486,000 8%
ナミビア 448,300 7%
南アフリカ 320,900 5%
ブラジル 276,800 5%
ニジェール 276,400 4%
中国 248,900 4%

「乾いた風 町ごと焼く 米・カリフォルニア州」

本日の東京新聞朝刊記事より。
昨夏、米西部カリフォルニア州の北部にあるグリーンビルという村で、乾燥した風に煽られ大規模火災が3ヶ月以上も続いたとのことである。

では一体、なぜカリフォルニア州で乾燥するのであろうか。大気大循環の項で中緯度高圧帯(亜熱帯高圧帯)を学習した。赤道低圧帯(熱帯収束帯)と北緯60度付近の亜寒帯低圧帯に挟まれた北緯30度付近は、下降気流が発生することで乾燥気候となっている。また、地軸の傾きにより、北半球でいうと、夏は北緯40度付近が中緯度高圧帯に、冬は北緯20度付近が高圧帯に入る。

イタリアを中心とした地中海沿岸は、ぴったり北緯40度付近に位置するため、夏に乾燥する地中海性気候となっている。でも、南北緯30( ±10度)度付近が全て地中海性気候となることはなく、寒流と偏西風の影響が強い大陸の西側という条件が加わる。共通テストに頻出の地中海性気候は、南緯30度付近の南アフリカ、同じくオーストラリア南西側のパース、北米のカリフォルニア州、南米のチリなど世界各地にある。

さらに北米の西側は環太平洋造山帯となっており、険しい褶曲山脈が聳える。湿った偏西風が山脈にぶつかり、山脈を超えたところで乾いた風が吹きおろすフェーン現象が生じる。カジノで有名なラスヴェガスは砂漠のど真ん中にある。記事にあるカリフォルニア州の北部も標高3000mを超えるシェラネバダ山脈の西側にあり、乾燥度合いが倍化したと考えられる。

ちなみに、日本ではフェーン現象による山から吹き下ろされる乾いた風のことを「颪(おろし)」と呼ぶ。阪神タイガースの応援歌の「六甲おろし」や群馬県の「赤城おろし」が有名。「颪」は漢字ではなく、日本独自の国字と呼ばれる字である。

「永久凍土の街 ロシア・サハ共和国」

本日の東京新聞朝刊に、世界で一番寒い国として知られるロシア連邦内のサハ共和国の温暖化の実態が報じられていた。ケッペンの気候区分では亜寒帯冬期少雨気候(Dw)とツンドラ気候(EF)が入り混じっている国である。