地理」カテゴリーアーカイブ

「同性愛迫害 難民認定」

本日の東京新聞朝刊記事より。
小さい記事だが,日本政府が,同性愛への迫害を理由に難民認定を出したとの喜ばしい内容である。

入国管理局改め,出入国在留管理庁のホームページによると,「難民」とは,「難民条約第1条又は議定書第1条の規定により定義される難民を意味し,それは,人種,宗教,国籍,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」とある。

同性愛者というだけで死刑や禁固刑などになる国が70カ国もあるという。そうした国に揺さぶりをかける政治的意味でも,遅ればせながら日本が同性愛迫害を難民認定し,日本で普通に生活を営むことができるようになるというのは評価したい。国内労働力の不足という追い風もあるのだろうが,難民認定の拡大についてきちんと法的整備を積み重ねて行くべきである。

「路線価4年連続上昇」

本日の東京新聞夕刊に,国税庁が発表した相続税や贈与税の算定基準となる2019年の路線価に関する記事が掲載されていた。
札幌,仙台,東京,千葉,神奈川,埼玉,名古屋,京都,大阪,神戸,博多など,ホテルやオフィスを抱えている大都市圏や,金沢や那覇,別府などの観光地を抱えた県は上昇し,高齢化による過疎化が目立つ半分以上の県では下落している。特に福井と和歌山,愛媛で下落幅が大きい。

首都圏への一極集中の一方で,地方における少子高齢の拡大や生産年齢人口の急減といった日本が抱える問題が見えてくる。「どんだけ~」というほどの量的・質的金融緩和をしているにも関わらず,半分以上の県でこの数字である。路線価の下落以上に,日本の人口問題の深刻さが垣間見えてくる。

海洋プラスチックごみ問題 追記

日本近海から出された海洋ゴミは,太平洋を時計回りに流れる北太平洋海流に乗って,カリフォルニア沖合(太平洋ゴミベルト)に溜まることが分かっている。昨日閉幕したG20大阪サミットで,海洋プラスチックごみゼロが首脳宣言に明記されたが,達成目標は2050年!?と30年も先の話である。

3年後に高校で始まる「地理総合」は,基礎的な地球科学の見地に立って自然災害や環境問題を考える科目である。「環境を守ろう!」とスローガンを繰り返すだけのつまらない授業ではなく,系統地理に基づいて持続可能な社会を提言したり,環境負荷を減らす方策を考える実験などの楽しい授業を計画していきたい。

「日本,IWC脱退 商業捕鯨あす31年ぶり再開」

本日の東京新聞朝刊に,日本が国際捕鯨委員会を脱退し,明日から領海(1852m×12海里=22.2km)と排他的経済水域(1852m×200海里=370km)内で商業捕鯨を再開すると記事が掲載されていた。

これまで日本は「調査捕鯨」という名目で,南極周辺の南氷洋やアリューシャン列島以北のベーリング海周辺で年数百頭のクジラを捕獲してきた。国際的枠組みで禁止されているにも関わらず,クジラの生態を調査するという目的で,商業ベースに近い捕鯨を30年近く続けてきたのだ。そうしたグレーな調査捕鯨を廃止し,国際捕鯨委員会を脱退した上で,EEZ内で捕鯨を再開するというのは分かりやすい動きである。

但し,商業捕鯨に関しては,賛成派も反対派も数値データよりも,水掛け論になりがちな文化や宗教をもとに主張を繰り返している。日本政府も「鯨食文化」に固執するが,果たしてどこまで復活するであろうか。小学校の頃,給食でクジラの竜田揚げが出たが,子供の味覚ではあまり美味しいとは感じなかった。

また,昨年インドネシアの国立公園の海岸に打ち上げられたマッコウクジラの死体から、6キロ近くのプラスチックごみが発見されたり,タイ南部では80枚あまりのプラスチック袋を飲み込んだゴンドウクジラが衰弱死したとの報道もある。クジラは肉食なので,他の魚の体内にあったプラスチックも一緒に飲み込んでしまう。タイのゴンドウクジラは救助活動の途中に5枚のプラスチック袋を吐き出したとのこと。国際捕鯨委員会もクジラを守りたいのであれば,商業捕鯨を巡って対立する前に,法の目を逃れて海洋に排出されるプラスチックゴミ問題に一丸となって取り組むべきであろう。

参考動画

「メキシコ国境 父娘おぼれ死ぬ」

本日の東京新聞夕刊に,米国とメキシコの国境となっているリオグランデ川で,エルサルバドル出身の父娘の水死体が見つかったとの記事が掲載されていた。記事を読み,現場での状況を想像するに,やりきれない気持ちになる。

父娘はエルサルバドルを出て,米国へ難民認定の申請をしていたが,手続きが進まず無謀な賭けに出たようだ。エルサルバドルであるが,正直日本人には馴染みが薄い国である。ネットで検索してみたところ,決して貧困で喘いでいる国柄ではない。一人あたりのGNIも182カ国中,117位である。一方,治安は悪化の一途を辿っており,人口10万人当たり殺人発生件数は2016年には82,84人であり,世界ワースト1位となっている。