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海外で武力行使 可能に

本日の東京新聞朝刊の一面は、集団的自衛権の行使を禁じてきた憲法解釈を変え、行使を認める新たな解釈を決定する自公協議を批判する論調の記事で埋め尽くされていた。集団的自衛権は自国が攻撃されていないのに、武力で他国を守る権利で、自衛隊は海外での武力行使が可能となり、専守防衛を基本方針としてきた日本の安全保障条約は大きく転換する。

少し気になった記事を残しておきたい。自衛隊の活動範囲が逸脱すると軌を一にして、通信傍受が拡大し、司法取引が導入されるという事態は正直怖い。ここ十数年、1930年代との類似から「戦争前夜」と言われ続けてきたが、いよいよ戦争開始直前にまで時計の針が進んでしまった。竹島や尖閣諸島の報道を見るに、いつでも韓国や中国に米軍と一体となって戦争を仕掛けるお膳立てが用意されたと言ってよい。

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埼玉新聞一面より

本日の埼玉新聞一面に、今月埼玉県上尾市にある聖学院大学の学長に就任した姜尚中氏のインタビュー記事が掲載されていた。
大変示唆深いコメントがあったので、掲載してみたい。

姜氏は「埼玉の印象は」という記者の質問に対して次のように答えている。

県内でも、東京に近い所と離れた所で違いが大きいが、総じて東京の磁力が非常に強い。まるで(車輪の)スポークとハブのように、県内移動でも東京を経由した方が早い場合があるほど。東京の影響力が大きく、アイデンティティーが見失われやすい地域
やや飛躍するが、浦和レッズの件(差別的横断幕事件)も、「ジャパニーズオンリー」と書きたい気持ちの裏側には、埼玉という地域が固有のアイデンティティーを見いだし得ないもどかしさがあるのではなかろうか。

「地元」というアイディンティティーが壊れてしまった東京郊外において、一気にいびつな国家主義へと流れてしまう危険性が指摘されている。特に10代〜20代の若者はあらゆる場面において自己肯定感を与えていかないと、いわゆる「自分探しの旅」から巡り巡って偏狭なナショナリズムへと流れかねない。
ヘイトスピーチや四国での差別張り紙などの事件の記事を読むにつけて、若者のアイデンティティーを保障するような教育の必要性を感じる。先生との関係やクラスの友人、部活の先輩後輩関係、地域での年齢を超えた活動など、生徒の他者や社会、自己との「関係性」を育む教育を目指したい。

姜尚中氏は、「どんな大学を目指すか」という質問に対して、次のように答えている。

本大学の目玉の一つである人文学部の日本文化学科に「埼玉学」を開講するとともに市民講座も始める。埼玉にはさまざまな歴史、土地の記憶がうずもれており、急速に失われつつある。歴史、文化、芸術、国際関係など多様な視点から埼玉のアイディンティティーを掘り起こし、教育に反映させたい。

「在特会ヘイトスピーチを非難」

本日の東京新聞夕刊に、米国務省が公表した2013年版の人権報告書に、在日韓国・朝鮮人の排斥を訴える「在日特権を許さない市民の会(在特会)」のヘイトスピーチ(憎悪表現)に対する懸念が盛り込まれたとの記事が掲載されていた。
報告書は在特会のヘイトスピーチについて「極右団体が東京の在日韓国・朝鮮人が多い地域でデモ活動を行った。団体のメンバーは人種的に侮蔑する言葉を用いた」と非難し、在特会の会長らがヘイトスピーチに抗議する団体との衝突で逮捕されたことにも触れている。
また、報告書は日本に住むマイノリティーについて、在日韓国・朝鮮人に限らず、中国人やブラジル人、フィリピン人らも社会的差別を受けていると指摘している。

東京新聞では、「在特会」についてかなり丁寧な報道記事が載っているが、私もネット右翼を中心とした一部の過激な団体が新大久保周辺で騒いでいるだけだろうと思っていた。しかし、事は一部の勢力による一部の民族への反感という問題に留まらず、日本全体に排外主義が蔓延しつつあると、海外の目には映っているのである。少子化が進む日本は、今後移民に頼らなくては国が成り立たなくなる瀬戸際に立たされつつある。こうした多文化が進展しつつある中で、この排外主義の萌芽にはくれぐれも注意を払っていくべきであろう。

「大間」差し止め訴訟

本日の東京新聞朝刊に、津軽海峡に面する青森県大間市に建設中の大間原発建設の差し止めを求め、津軽海峡を挟んで半径30km圏内にある北海道函館市が電源開発社(Jパワー)と国に対して訴訟を起こすという特集記事が掲載されていた。

函館市は原発事故の防災重点地域の緊急防護措置区域に位置するにも関わらず、原発建設や稼働の同意手続きに関与できず、工藤函館市長は「再三再四、建設の凍結を求めてきたが、聞き入れられなかった。訴訟を起こすしかない」と憤りの述べている。また、大間原発の国の許可が福島原発事故の前の旧審査基準によって出されていることも問題視し、「原発事故前のいいかげんな審査指針で、(建設)許可が出されている。それに基づいて工事も再開している。そんな許可は無効だ」と述べる。

大間原発は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜた混合化合物(MOX)燃料を100%使用する世界初のフルMOX原発である。プルトニウムを使用しているということは、一度事故を起こせば半径30kmの市町村のみならず、津軽海峡も全て汚染されるという結果を引き起こす。工藤市長は「津軽海峡は国際海峡で、ほかの地域と比べ、外国のゲリラ船も入りやすい。世界一危ないフルMOXで、世界一テロに弱い原発ができあがることになる」と危機感を募らせている。

小さい自治体の隣接区域をわざわざ探し出し、補助金の色分けなどによって、地域全体で反対の声がまとまらないように分断し、危険な原発を補助金行政に苦しむ地方に押し付ける国と電力会社の狡猾で強引な手法が露となっている。

本日の夕刊から。

本日の東京新聞夕刊に、東京都内の複数の図書館で「アンネの日記」のページが破られる被害が相次いでいるとの記事が載っていた。日本図書館協会関係者によると、被害は200冊を超え、ナチスの強制収容所アウシュビッツに関連する複数の書籍も手で一気に破った跡があったそうだ。日本で「アンネの日記」を破る思想犯はイメージし難く、おそらくはファナティックな個人の犯罪なのであろう。
また、ユダヤ人の少女アンネ・フランクが綴った「アンネの日記」が、ユネスコが認定する「世界記憶遺産」に登録されているという事実を初めて知った。
「自然」「文化」に加え、「記憶」まであったとは。

また、タイミングを合わせたかのように、海外面にアウシュビッツの元看守3人がドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州の捜査当局に拘束されたとの記事が載っていた。3人はそれぞれ、88、92、94歳で、虐殺を幇助した疑いが持たれている。また家宅捜索で、ナチスの親衛隊(SS)だったことを示す書類も押収されている。
ナチス親衛隊の残党が生き残っているなんて言うのは、一昔前の映画や小説のような話である。太平洋戦争時の残留日本兵のように、現代という時代に「歴史」がさまよいこんできたような感覚である。

同じ海外面に、オバマ米大統領がチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世とホワイトハウスで会談するとの記事が載っていた。国家安全保障会議(NSC)は声明で「チベットで続く緊張や悪化する人権状況を懸念している」と指摘し、中国における宗教の自由や人権の保障の重要性に言及している。一方、中国はダライ・ラマをチベット独立派と見なしており、ダライ・ラマの訪問を外国が受けれたり、公的立場の人物が会談したりすることに強く反対している。
記事を読みながら、チベットを出汁にした米国と中国の醜い覇権争いにすぎないとしか思えなかった。米国が「人権」「自由」「民主主義」の錦の御旗を振りかざして進出してくる地域において、「憎悪」と「紛争」と「貧困」がはっきりと形を表してくるのである。米国こそが世界紛争の教唆犯だという事実をしっかりと見定めいこう。