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「郷愁の社会主義」

本日の東京新聞朝刊に木村太郎氏の「郷愁の社会主義」と題したコラムが掲載されていた。
10年ほど前に公開された『グッバイ・レーニン』というドイツ映画をネタに、旧東独のテューリンゲン州で社会主義政党に属するボド・ラメロウ氏の首相就任を取り上げている。内容はさておき、ワイヤーで吊られたレーニン像が空を舞う有名な映画のワンシーンを思い出しながら興味深く読んだ。
ただし、木村氏の指摘する「郷愁」という側面には引っかかりを感じた。日本に限らずアジアでもヨーロッパでも格差が広がっている現在、社会主義政党に期待する国民の声は「郷愁」ではなく「現実」であろう。

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「大学生おしゃれデモ」

本日の東京新聞朝刊に、特定秘密保護法に反対する大学生が取り上げあられていた。学生の主張の中身よりも、そのスタイルの新鮮さ(?)に注目した内容となっている。このような金にもならない記事を掲載し続けている東京新聞の姿勢は素晴らしい。
歴史を紐解くまでもなく、どの国でもどの時代でも、社会の雰囲気を変えていく先導は学生である。やれ背後のセクトがどうたらこうたらとか、おしゃれなスタイルがああではないこうではないという野次が出てきそうだが、学生自身が考える一番効果的なスタイルを追求してほしい。
記事の最後にある、「僕らより下の大学1、2年生や高校生が僕らの方向をまねて、僕らが『だせえ』と言われるほどのデモをしてもらえるなら、それ以上のことはないな」という明治学院の学生のコメントが秀逸である。

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「道徳の教科化 心を評価する危うさ」

本日の東京新聞朝刊に、道徳の教科化に対する批判の社説が掲載されていた。分かりやすい良い文章だったので引用してみたい。

 小中学校の「道徳の時間」を検定教科書を使う正式な教科に格上げし、子どもの人格の成長ぶりを評価する。中央教育審議会が文部科学相に出した答申である。大人はそんなに立派な存在なのか。
 現行の道徳は教科外活動とされ、検定教科書はなく、成績評価もなされてこなかった。これが二〇一八年度から「特別の教科」に位置づけられる見通しとなった。
 国定教科書を用いた戦前の「修身」は愛国心といった徳目を国民に植えつけ、軍国主義教育の中核を担った。戦後の道徳教育はその反省に立って行われてきた。答申が時計の針を巻き戻す結果を招かないか気がかりだ。
 国語や算数・数学、理科、社会などの既存の教科は、先生が自らの知識や技能、経験も踏まえ、子どもに伝授するのにふさわしい分野といえる。テストという物差しをあてがい、習得具合を客観的に評価することができるからだ。
 道徳は対照的だ。物事の善悪や正邪にとどまらず、人間の生き方や価値観をも正面から取り上げる分野である。子どもの心奥に働きかけ、人格形成に大きな影響を与えるだろう。無論、テストでその発達ぶりを測ることはできない。
 そこで、答申は、点数式を排除して記述式の評価を求めたが、子どもの内面の在りように成績をつけさせることに変わりはないのだ。先生個人の主義主張や好き嫌い、えこひいきが入り込む。
 最大の問題は、何をどう評価するかだ。国が一律の物差しを作れば、自由かつ多様であるべき価値観や思想信条を統制することになりかねない。成績評価がついて回るから、子どもや親が無批判に受け入れてしまう懸念がある。
 国の検定基準に見合う教科書が導入されるのも心配だ。愛国心を定めた教育基本法に照らし、重大な欠陥があると失格になる。合格を意識するあまり画一的な偉人伝や格言、素材に偏らないか。やはり戦前をほうふつさせる。
 そもそも世の中の大人に、子どもの道徳性を評価する資格があるのだろうか。
 小渕優子前経済産業相はお金を正しく管理できず、松島みどり前法相はうちわを配り、そろって法律違反を疑われて閣僚を辞めた。国の責任者に選ばれる大人でさえ、人格完成へまだ道半ばではないか。
 貧困、紛争、温暖化…。社会の難題の解決には、人間の道徳心が肝要である。大人も子どもと一緒に悩み、考え、学び合う。その姿勢を欠いては、未来は危うい。

「東大闘争を語る」

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本日の東京新聞朝刊に、山本義隆元全共闘議長が40数年ぶりに「私の1960年代」と題した講演を行ったとの特集記事が掲載されていた。
1960年代後半の「全共闘運動」の背景にあった思想的潮流について、山本氏は、戦後の「平和」と「民主主義」「科学技術の進歩」の3つのシンボルが絶対的な正義とされた社会総体への疑問だと指摘する。「全共闘」というと、やれ保守と革新や、代々木と反代々木、〇〇派と××派の対立といったセンセーショナルな報道で彩られるが、戦後体制そのものの矛盾を明らかにするきっかけとなるものであった。
一連の学生運動が現代に与えた影響について、「何だったのかと問われると返す言葉がない」「あと何年生きられるか分からないが、やれることを見つけ、やっていかなければならない」というコメントが印象的であった。
アジ演説の写真の印象が強かったので、近況の写真のたそがれぶりに少し残念な心持ちがした。

本日の東京新聞夕刊より

本日の東京新聞夕刊に、第2次安倍内閣で総務相に就任した高市早苗衆院議員と自民党の稲田朋美政調会長ら国会議員3人が、「国家社会主義日本労働者党」を名乗る極右団体の男性と議員会館で会い、ツーショットで撮った写真が団体のホームページに公開されていたとの記事が掲載されていた。団体のページには、ナチス・ドイツの「かぎ十字」やのマークが数多く掲載され、「東亜新秩序建設」や「わが人種の優秀性を主張する」「攘夷すなわち民族浄化を推進しなければならない」といった民族差別丸出しのスローガンまで並んでいる。

高市さんも、稲田さんも団体代表の素性や思想について、知らぬ存ぜぬの洞が峠を決め込んでいるようだが、写真で明らかなように堂々たる確信犯である。暴力的な行為や公共的の場での発言に及ばない限り、「国家社会」何たら党が私的に作っているネット上で何を発言しようが自由だし構わないとも思う。しかし、議員会館で明らかに不自然な人物の面会を受けるのはどうかと思う。
両名とも自分たちは安全な場に居ながら、若者や貧困層が犠牲になる戦争を賛美するどうしようもない議員である。説得も議論も不要であろう。こういった輩には、手前らが軍服着て槍でも銃でも担いで尖兵を切ってこいと言いたい。エルサレムの中心部でハーケンクロイツと日の丸を背に、日本民族の優位性でも他民族の侮蔑でも堂々と主張してくればよい。
また、国際的恥さらしをしている人物を閣僚に入れた安倍総理の責任を追究する責任が野党にはある。さてどこが批判の急先鋒となるであろうか。期待したい。

以下、英紙「The Guardian」より転載

Neo-Nazi photos pose headache for Shinzo Abe

Two newly promoted political allies of Japanese PM shown smiling alongside far-right figure Kazunari Yamada
Pictures from Japanese neo-Nazi Kazunari Yamada's website show him posing with Shinzo Abe allies
Pictures from Japanese neo-Nazi Kazunari Yamada’s website show him posing with Shinzo Abe’s internal affairs minister, Sanae Takaichi, and his party’s policy chief, Tomomi Inada. Photograph: Guardian

Barely a week after Japan’s prime minister, Shinzo Abe, overhauled his administration amid flagging popularity, two of his senior colleagues have been forced to distance themselves from rightwing extremism after photographs emerged of them posing with the country’s leading neo-Nazi.

Sanae Takaichi, the internal affairs minister, was among a record-equalling five women selected by Abe as he attempts to make his cabinet more female voter-friendly and to increase women’s presence in the workplace.

Takaichi, an Abe ally on the right of the governing Liberal Democratic party (LDP), was pictured posing alongside Kazunari Yamada, the 52-year-old leader of the National Socialist Japanese Workers party, on the neo-Nazi party’s website.

A smiling Takaichi and Yamada appear together standing in front of a Japanese flag.

Yamada has voiced praise for Adolf Hitler and the September 2001 terrorist attacks on the World Trade Centre. In a YouTube video Yamada’s supporters are seen wearing swastika armbands, while he denies the Holocaust took place and criticises postwar Germany’s ban on the Nazi salute, accusing the country of being “no different from North Korea”.

Takaichi met Yamada “for talks” at her office in the summer of 2011, according to her office. Confirming the photographs were genuine, a spokesman for Takaichi claimed her office had been unaware of Yamada’s extremist views at the time.

“[He] was an assistant to an interviewer and was taking notes and photos,” a member of Takaichi’s staff told AFP. “We had no idea who he was back then but he requested a snap shot with her. [She] wouldn’t have refused such requests.”

Media coverage prompted her office to request that the photographs be removed but by then they had already been widely circulated on social media.

“It was careless of us,” the staff member said, adding that Takaichi did not share Yamada’s views “at all … it is a nuisance”.

A second photograph shows Yamada standing alongside Tomomi Inada, another close Abe ally who was given the powerful job of LDP policy chief. Inada’s office was quick to distance the MP from Yamada, whose website celebrates the “samurai spirit” and proclaims that the “sun shall rise again”, saying it would be disappointed if the photograph led people to “misunderstand what she does”.

While there is no evidence that either politician shares Yamada’s neo-Nazi ideology their appointment has fuelled accusations that Abe is taking his administration even further to the right.

Takaichi and Inada have both visited Yasukuni shrine, which honours Japan’s war dead, including 14 class-A war criminals; last week, Takaichi said she would visit Yasukuni again, this time in her role as minister. “I’ve been visiting Yasukuni as one Japanese individual, to offer my sincere appreciation to the spirits of war dead,” she told reporters. “I intend to continue offering my sincere appreciation as an individual Japanese.”

China and South Korea view politicians’ pilgrimages to the shrine as evidence that Japan has yet to atone for atrocities committed on the Asian mainland before and during the second world war.