新聞」カテゴリーアーカイブ

「オランウータン12年間で激減」

 

本日の東京新聞夕刊に、インドネシア・カリマンタン島(ボルネオ島)のオランウータンの生息数が約12年間で激減しているとの記事が載っていた。昨年の100平方キロ当たりの推定生息数は13〜47頭で、12年前から大幅に減っている。生息地の減少や違法な狩猟、森林火災などが原因という。オランウータンは絶滅が危ぶまれており、環境団体などが保護を呼びかけている。

マレー語で「森(hutan)の住人(orang)」を意味するオランウータンは、アフリカに生息するという漠然としたイメージがあった。インドネシア(首都:ジャカルタ)とマレーシア(首都:)、ブルネイの3カ国があるボルネオ島とスマトラ島にしか生息していない最も人間に近い霊長類のひとつである。

赤道上に位置するボルネオ島であるが、wikipediaによると、英語ではボルネオ(Borneo)、インドネシア語ではカリマンタン(Kalimantan)の呼称を使うのが一般的。また、「ボルネオ」の語源は、かつて島の北半分を占めていた「ブルネイ」が訛ったものといわれている。面積は725,500km2で日本の国土の約1.9倍の大きさである。世界の島の中では、グリーンランド島、ニューギニア島に次ぐ、面積第3位の島である。

オランウータンは一生を木の上で過ごすため、熱帯雨林の伐採が直に彼らの生活空間を脅かすことになる。日本は国土3分の2が森林で覆われており、木材資源が豊富な世界有数の森林大国であるが、木材自給率は30.8%(2015年)である。残りは世界中から輸入しており、米国、カナダ、オーストラリア、マレーシア、インドネシア、ロシアが大半を占める。日本の責任も明記しておきたい。

「二輪ASEANで好調」

本日の東京新聞朝刊に、ヤマハ発動機の柳社長の「ASEANは基盤ができてきた」とのコメントが掲載されていた。ベトナムやタイの販売が好調で、2017年6月中間連結決算は増収増益で純利益は過去最高を記録している。

産経ビズの情報によると、中国の二輪販売は数年前の2500万台をピークに減少に転じており、インドが生産・販売で世界第1位となっている。その背景には農村部の所得上昇や道路などのインフラが整備される一方で、都市部で交通渋滞が悪化し、取り回しの良いスクーターに人気が集まっているという。

ベトナムも電車がなく、バスも時間通りに運行されていない。また、自家用車は渋滞悪化を懸念した政府が関税や莫大な手数料をかけており、日本で買えば新車でも150万円程度のカローラが、ベトナムでは400万円以上もするという背景がある。

また、タイの二輪市場であるが、これは学生時代にバンコクを訪れ、実感しているところでもある。150ccくらいのバイクの後ろに乗って、どこかにぶつかって足が吹っ飛ぶんじゃないかと思いながら、運転手にしがみついていた記憶がある。

「ベネズエラ混迷」

本日の東京新聞朝刊の社説に、国家破綻が危惧される南米ベネズエラのマドゥロ大統領の責任を問う内容が掲載されていた。

日本の約2.4倍の国土に約3000万人の国民が暮らすベネズエラ(首都カラカス)であるが、世界屈指の石油資源に恵まれ、1950年代には南米有数の富裕国となった。それが今では主食のとうもろこし粉や食用油などの食料品、洗剤、トイレットペーパーなどの日用品が店頭から消え、年間3桁の猛烈なインフレが国民生活を直撃している。

1999年に就任したチャベス前大統領は反米左派を掲げて社会主義化を進めた。企業を国有化し、食料品などの基礎生活財の価格を低く抑える統制に踏み切った。支持基盤の貧困層にはバラマキ政策を展開した。しかし、価格統制と国有化は生産や販売の意欲を削ぎ、生産縮小、商品の売り惜しみに繋がり、旧ソ連の失敗の繰り返しとなっている。それでもチャベス時代は原油高騰の恩恵を受けて、その収入で得た輸入品で補うことができた。だが、チャベスの後継指名を受けたマドゥロ氏は油価下落のアオリを食らいその手を封じられている。さらに、マドゥロ氏は国内外の反対を押し切って、国会の権限を取り上げ、司法権に加え立法権まで手に入れ独裁体制を確立している。反政府運動は一層先鋭化し、反政府デモと治安部隊の衝突で死傷者も続出している。

Newsweek日本版のネット記事によると、チャベス大統領時代に中国からのひも付きマネーが大量に流入し、7年間で630億ドルに達しているという。その返済は全て石油で行うという裏取引があったようで、今やベネズエラは契約当初の2倍の原油を中国に輸送する羽目になっている。米国がほとんど関わりを絶っている以上、中国の出方に注目が集まる。

Newsweek日本版の記事の執筆者であるクリストファー・バルディング(北京大学HSBCビジネススクール准教授)は次のように述べる。悠久のシルクロードのイメージでデコレーティングされてる「一帯一路」の欺瞞にはこれからも注目していきたい。

中国当局は一帯一路を語る際、第二次大戦後の欧州復興計画マーシャルプランをよく引き合いに出す。しかし一帯一路は「中国による中国のための計画」だ。低金利や無利子の開発援助と違い、金利は市場の相場に基づき高く設定される。しかも鉄道や港湾の建設事業を受注するのは中国企業で、資材も中国から輸入し、労働者も中国人だ。

そうであっても中国は高い代償を免れ得ない。既に中国当局は南アジアと中央アジアの国々への融資で多額の焦げ付きが出ると予想している。

スリランカがいい例だ。中国は20億ドルの借金棒引きを認めたが、その後にまたインフラ事業で320億ドルを投資した。大型インフラ事業で中国マネーが流入するパキスタンではインフレが起きるのは必至で、そうなれば債務返済はさらに困難になる。

「第3の性」変革に挑戦

本日の東京新聞夕刊に、男女の社会的役割が大きく分けられているインドで、「ヒジュラ」と呼ばれ社会の底辺で差別を受けてきた心と体の性が異なるトランスジェンダーの地位向上に向けた動きが生まれているとの記事があった。最高裁が2014年4月、トランスジェンダーについて「第3の性として人権があり、市民として平等に扱われるべきだ」との法的に認める決定を出し、政府に教育や雇用の面で配慮を求めたこともあり、性産業や物乞い的な収入しかなかったヒジュラが、音楽やタクシー業界に進出し地方議員にも立候補しているとのこと。

ヒジュラはこれまでアウト・カーストな存在として扱われてきた。しかし、近年下層カースト出身の大統領が続いたこともあり、差別解消の追い風になっているのであろう。
また、記事はインド最大の都市ムンバイ(イギリス支配時代はボンベイ)の話であった。数年前に観た映画『スラムドッグ$ミリオネア』で描かれたように、ムンバイ郊外にはスラム街が広がる。そうしたスラム街にヒジュラが集団で生活しているという。そして、またそうした雑多な空間から自由が生まれようとしている。ふと、中世ドイツに「都市の空気は自由にする」との諺があったことを思い出した。

ヒジュラ
インドなど南アジアでみられる第3の性。インドのカジ・ナズルル大(西ベンガル州)の研究などによると、インド国内に約500万〜600万人が居住。男児や性別がはっきりしない子供らが自ら希望するなどしてヒジュラの共同体に加わり、女性の衣装を着用して結婚式や新生児誕生などの祭事で歌や踊りを披露。ヒジュラは呪いを起こすとも信じられている。紀元前から王宮などで活動し、ムガール朝でも重用された。教育を受けず、社会から疎外されている例が少なくない。

 ↓ 記事で紹介されていた「シックス・パック・バンド」

「土砂崩れ200人以上死亡か」

本日の東京新聞朝刊に、アフリカ中部のコンゴ(旧ザイール)北東部イトゥリ州で大雨による土砂崩れが発生し、地元当局によると少なくとも200人以上が死亡したもようとの記事が掲載されていた。

コンゴと言われてもパッと国のイメージが思い浮かばない。wikipediaを読むと、次のように書かれている。

コンゴ民主共和国の面積は西ヨーロッパに匹敵する。3分の1が赤道の北側に、3分の2が南側に位置する。非常に雨が多く、雷も地球上で最も多い。年間降雨量は場所により2,000ミリを超え、アマゾンに次ぐ広さの熱帯雨林を抱える。西の大西洋へゆっくり下るコンゴ川の流域は広大なコンゴ盆地の大部分を占める。南はサバンナに続く高地に、西は山がちの台地に、北は草地に囲まれ、最も東には氷河で覆われる高山がある。

説明にある通り、コンゴ民主共和国(首都キンシャサ)は234.5万㎢の面積を有し、アルジェリアに次いでアフリカ第2位の広さである。7,874万人もの人口があるが、一人当たりGNIは、420ドル(2016年,世銀)に過ぎない。大雨による土砂崩れとあるが、どれほどの量の雨が降ったのであろうか。森林伐採による土壌の緩みが原因との指摘もある。西アフリカのシエラレオネ(首都フリータウン)でも土砂崩れによる洪水で、死者・行方不明者が1000人を超えているとの報道もある。

コンゴ(民)もシエラレオネもコーヒー栽培が輸出を支えている。しかし、効率的なコーヒーの単一栽培を行うために、大量の農薬が投入され、熱帯林が切り開かれ、野生生物の生息地をも破壊している。日本は世界第4位のコーヒー消費大国である。安くコーヒーが飲めるわけだが、できるならば、あまりに安いコーヒーは遠慮したいところである。