漫画」カテゴリーアーカイブ

『ノーマン』

手塚治虫『ノーマン』(秋田文庫 1995)全2巻を読む。
アポロ11号が月面に着陸する前年の1968年に「週刊少年キング」に連載された、月の世界の住人と異星人の戦争をテーマにした少年漫画である。週刊漫画だからなのか、話の展開が早すぎて、一人ひとりの登場人物が描ききれておらず、あまり面白くなかった。

『この世界の片隅に』

第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、こうの史代『この世界の片隅に』(双葉社 2009)を読む。
先月増刷(2016年12月第16刷)されたばかりの新刊である。全3巻を一気に読み終えた。
2007年から2009年にかけて『漫画アクション』に連載された漫画である。原爆投下前後の広島・呉で平凡ながらも健気に生きる北條すずの生活が描かれる。特に意図的に感動を催すような場面はないのだが、読み終えた後にじわじわと心の底から感動が沸き起こってきた。誰かに薦めるというよりも、これからも心の中で密かに大切にしたい作品である。

『ザ・クレーター』

手塚治虫『ザ・クレーター』(秋田文庫 1994)を読む。
1969年から1970年にかけて、「少年チャンピオン」に連載された短編作品である。話の内容も、地域、時代も全く異なるが、ほぼ全ての作品でオクノリュウイチなる青年男性が主人公として登場し、人生の不条理なるものが様々に形を変えて語られる。
その中に死んだ女性が同年代の男性の心と入れ替わる『オクチンの奇怪な体験』という話がある。男性トイレに女性の心のままで入ってしまい恥ずかしがるシーンや、外見は活発な男の子なのに行動はお淑やかな女の子なので周囲の誤解を招くシーンなど、ちょうど先日見た『君の名は。』に設定が良く似ていた。手塚治虫氏が卓越しているのか、新海氏が参考にしたのかは不明だが、他の作品も含め、生死の境目や、人生の選択、記憶の不思議というものを考えさせる内容であった。

『どろろ』

手塚治虫『どろろ』(秋田文庫 1994)全3巻を一気に読む。
原作は1967年から68年にかけて、「週刊少年サンデー」に連載された漫画である。
手や足、目や耳など人体の48ヶ所を妖怪に奪われたまま生まれた百鬼丸が、両親の酷い死を目の当たりにして育ったどろろを連れ、妖怪を退治しながら少しずつ身体を取り戻していく旅を続ける。人間の業や幸福の本質といった深いテーマも散りばめられているのだが、連載打ち切りのため、未完で終わっているのが残念である。

『マンションOBA』

手塚治虫『マンションOBA』(集英社文庫 1995)をさらっと読む。
1972年から79年にかけて、読み切りで「週刊少年ジャンプ」や「週刊少年サンデー」に掲載された漫画が6編収録されている。
表題作の『マンション〜』は、東京郊外を舞台として、
都市開発によって妖怪の栖であった鎮守の森が破壊され、
いつか人間へのしっぺ返しを誓う妖怪たちが、
その跡地に建てられたマンションに住み着いて、