投稿者「heavysnow」のアーカイブ
『一度も植民地になったことがない日本』
デュラン・れい子『一度も植民地になったことがない日本』(講談社+α新書,2007)を読む。
著者は日本生まれの日本育ちで、博報堂のコピーライターとして活躍されていたが、スウェーデン人と結婚後、スウェーデンやオランダ、ブラジルに拠点を移し、東京と南仏を往復しながら日欧の文化交流に努めている。
個人的なエピソードが中心だったので、さらっと読み飛ばした。一つ興味を引いたのが、イギリスとフランスは敵対国だったので、悪いことはオランダ人の行為とした英語になったというところである。「ダッチ・ワイフ」(代用妻)や「ダッチ・ガール)(売春婦)、「ダッチ・アカウント」(割り勘)など、口にするのも憚られるような差別用語がいまだに流布している。
『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』
森川嘉一郎『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』(幻冬社,2003)を読む。
1980年代までは白物家電やオーディオ機器の販売が中心だった秋葉原が、1990年代に入るとパソコン中心になり、エヴァンゲリオンがブームとなった1990年代の終わりからオタクの聖地となっていった変遷が丁寧に説明されている。
著者は私と同世代で、早稲田大学大学院で建築学を学ばれており、現在は明治大学の国際日本学部で現代日本文化論を研究されている方である。後半は秋葉原論から離れるが、ラジオ会館の店舗構成の移り変わりやオウム真理教と『幻魔大戦』の関係など、興味あるテーマが多かった。
『ミツバチ大量死は警告する』
岡田幹治『ミツバチ大量死は警告する』(集英社新書,2013)を少しだけ読む。
「はじめに」の項で、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』の現代日本版を目指すと述べられているように、農薬によって天然のミツバチが大きく減少し、やがては人間の体内にも蓄積され、発達障害が増加しているとの恐ろしい報告となっている。タイトルにある「ミツバチの大量死」は「ヒトの大量死」の警告ともなっている。
農業に縁遠い私はミツバチの主な利用法は蜂蜜だと思っていたが、1997年の統計によると、蜂蜜など生産物の価値が約72億円なのに対し、受粉の価値は3453億円と、受粉の経済的価値は生産物の50倍近くもあるという事実に驚いた。