所用で武蔵嵐山まで出かけた。
全く知らなかったのだが、武蔵嵐山周辺の比企地区は中世に畠山家が治めていた土地で、源頼朝に仕えた畠山重忠の住居跡が残されている。
博物館が隣接されていて、当時の歴史が丁寧に紹介されていた。
ただ、城跡だったら城壁が残っているが、木造の館跡なので何も残っていない。
想像力が必要な場所であった。
投稿者「heavysnow」のアーカイブ
『都市と交通』
岡 並木『都市と交通』(岩波新書,1981)を読む。
執筆当時、著者は朝日新聞の編集委員を務めており、退職後は静岡県立大学国際関係学部や武蔵野女子大学文学部教授を歴任し、交通及び比較都市論を専門としている。
人口増加の1980年代前半の話なので、現在とは様相を異にするが、パリやロンドン、ニューヨーク、また福岡などとの比較から、東京の交通網の弱点を指摘している。著者は徒歩や自転車でホールや寄席などの文化施設へ移動できる豊かな都市生活を提案する。人間がバスやタクシーなど使用せずに「抵抗なく歩ける距離」はおおよそ300~400メートルである。そうした距離を勘案して駅や停留所を設けることで、公共交通機関の利便性が向上する。ミニバスや路面電車、自転車の活用など、環境にやさしいコンパクトシティが提言されており、著者の先見の明が伺われる。
『地球の科学』
関利一郎・稲盛潤・木村達明編著『新訂 地球の科学』(秀潤社,1981)を読む。
重要語が太文字ゴシック体になっており、大学の教養課程における地学の教科書を想定した内容となっている。現在では中学高校の教科書に書かれるプレートテクトニクスや地震の仕組みなどが、研究の途上にあると詳細には記されていない。地球科学は理論よりも計測の結果が重視されるので、理論物理の宇宙よりも証明が難しいのかもしれない。
参考になるところがたくさんあったので、まとめておきたい。
- 地球表面は、風化や浸食などの外的エネルギーと地震や火山などの内的エネルギーの働きが互いに複雑に絡み合って作られている。外的エネルギーは全て太陽放射エネルギーによって作られ、内的エネルギーはプレートテクトニクスによって全て説明がつく。
- スカンジナビア山脈は標高2000メートルを超えるが、数万年前の氷期には厚い氷におおわれて大地全体が押しつぶされていた。数万年前から氷が解け始め、年に数センチメートル程度上昇を続けている。これまでに500メートル以上上昇したが、これからもなお200メートルぐらいは上昇すると推定されている。
- 最近、太陽光フィルムのペロブスカイトが注目されている。橄欖(カンラン)石Mg2SiO4が分解されると、MgSiO3のペロブスカイトが生成される。
- 大陸移動説そのものは17世紀から議論されてきたが、アルフレート・ヴェーゲナーが著書『大陸と海洋の起源』(1915年)において地質学や古生物学、古気候学などの研究成果を体系化した。しかし、大陸が移動する仕組みの根拠が薄かったため、1930年代には大陸移動説を支持する学者はほとんどいなくなった。大陸移動説が再び脚光を浴びたのは、ウェーゲナーの死後、1950年代になってからである。
- マントル上部の固い部分をリソスフェアというが、岩石圏と和訳することもある。また、マントル下部の柔らかい部分をアセノスフェアを岩流圏と訳すこともある。
『進化を忘れた動物たち』
今泉忠明『進化を忘れた動物たち』(講談社現代新書,1989)をパラパラと読む。
中世代のままの姿を保っているシーラカンスやオオサンショウウオ、コモドオオトカゲなどが紹介されている。新生代以降の大陸移動によって、天敵がいなくなったり、離れ小島で独自の生態系を生き延びたりしたケースが多いようだ。
有名なガラパゴス諸島の海イグアナは、ゾウガメが生きている冷凍肉として大量に海賊船に積み込まれた一方、外見のまずさで人間に食われずに済んだ。また、海イグアナは体温が35~37度であるが、海に長時間潜ることができる。ガラパゴス諸島周辺はフンボルト海流に影響で、海水温は10度足らずである。そのため、日中の多くを甲羅干しで体温を上げる必要がある。海イグアナの祖先は南米の森林に棲んでいた陸イグアナであろうが、南米にいたものは絶滅して、ガラパゴス諸島に流れ着いたものだけが、数千万年かけて独自の進化をしたと考えられている。
他にも、奇妙な進化をした哺乳類として、カモノハシやジャイアントパンダ、ミツユビナマケモノなどが取り上げられている。
『ヒマワリはなぜ東を向くのか』
瀧本敦『ヒマワリはなぜ東を向くのか』(中公新書,1986)をパラパラと読む。
「雨後のタケノコ」という諺があるように、マダケのタケノコで1日に121センチメートル、モウソウチクのタケノコで1日に119センチメートルも伸長した例があるという。特に昼間の伸長は速く、1時間に8〜10センチメートルも伸びることがあるそうだ。本書ではヒマワリの研究を紹介しながら、植物が生きているということが繰り返し語られる。