投稿者「heavysnow」のアーカイブ

『アインシュタインの就職願書』

木原武一『アインシュタインの就職願書』(新樹社,1991)をパラパラと読む。
著者が担当した『月刊リクルート』(1978年ごろから1983年)に掲載されたコラムの選り抜き集となっている。リクルート社が発行している雑誌なので、人材の選抜や能力開発、マンパワーの活用、職業の選抜などがテーマとなっている。

産業革命の頃に機械破壊運動を行なったラダイト運動が興味を引いた。ラダイトは秘密結社であり、銃やピストル、斧や槌なども使用して、各地の工場を木っ端微塵に破壊していった集団である。現在のイスラム原理主義のような団体で、機械打ち壊しというよりも、一種の市街戦を展開していった。特にランカシャーやヨークシャーなどの産業革命の中心地で、連日のように工場が襲撃された。

著者は項の最後で次のようにまとめている。特に最後の一節は、AIに仕事を奪われる現代社会を評しており、興味深い。

ラダイト運動はたしかに時代錯誤の運動にちがいなかったが、一方では、時代の波に乗りすぎた経営者にもいい反省の機会となった。暴動の再発を恐れた経営者は、機械の導入によって仕事を奪われた労働者のすべてに適当な職場をみつけることを決議しているのである。
ところで、ロボットが人間の仕事を奪うという見方は、19世紀のラダイトと同じ発想といっていいが、ロボットを工場から追い出すといった19世紀的なラダイト運動はもはや起こらないだろう。これから新たなラダイト運動が起こるとしたら、知識や情報の分野においてであろうと思われる。たとえば、自動翻訳機などが開発されたら、翻訳家や外国語の教師は飯の食い上げである。産業革命期の熟練手工業者にかわって、世紀末の知的労働者がラダイトになる可能性は大いにある。

久しぶりの輪行〜上三依塩原温泉口駅

本日、春日部から輪行で、リバティ会津に乗って栃木と福島の県境の上三依塩原温泉口駅まで行った。しかし、そこから坂道を下り始めて10分後くらいに、子どもの自転車の前輪がパンクした。タイヤもチューブも大きく破裂したが、幸い大事には至らなかった。

予備のチューブも持っていっていたが、タイヤが裂けていたので修理もできなかった。たまたま山菜取りに来ていたおじさんの好意で、今市のホームセンターまで車で送ってもらった。

タイヤを付け替えて、今市から春日部まで90kmを走って帰ってきた。たったの90kmだったが、体温を超える暑さで途中フラフラになった。道端でのごろ寝も挟みつつ、30分ごとに休憩しながら、なんとか帰ってきた。

風呂上がりのビールが美味い。

『歌舞伎町裏街道』

久保博司『歌舞伎町裏街道』(幻冬社アウトロー文庫,2010)をパラパラと読む。
今はトー横と呼ばれているコマ劇前を中心とした歌舞伎町で暗躍する暴力団や中国マフィア、ぼったくりバー、コリアンタウン、地下カジノなどの実態にせまる。

出版の都合があったのだろうか、舞台は1997年の新宿であある。中国が大きく経済成長する前であり、まだ一人っ子政策が続いていた頃である。そのため、改革・開放政策にともなって、農村から都会に出稼ぎに来た「民工」のうち仕事にあぶれた者は「流氓」と呼ばれ、戸籍のない者も多く含まれていた。当時は円高だったので、香港マフィアによって日本に出稼ぎにくる流氓が跡を絶たなかった頃の話である。

ちなみに、中国マフィアは清朝に抵抗する漢民族の政治結社「三合会」の流れを汲むという。

輪行準備?

今年のお盆は、台風、地震、猛暑の3つの警報があり、自転車旅はお休みすることになった。といっても日帰りはできるので、明日は鬼怒川温泉の先まで輪行で出かけようと思う。

子どもの自転車を輪行袋に収めようとしたところ、エンド金具もナイロンストラップも見つからなかったので、急遽ディレーラーごと外して、ビニールテープでぐるぐる巻きにした。ディレーラーハンガーが曲がることもあり、正直おすすめできる方法ではない。

今夏は通信制大学の「再々提出」のレポートと、お盆明けの管外研修のレジュメを抱えており、少し慌ただしいが、しっかりと気分転換をしたい。

『化石探検』

福田芳生『化石探検:Part.2鳥類からシーラカンスまで』(同文書院,1989)をパラパラと読む。
2分冊のうちの2分冊目で、約2億3000年前から始まる中世代、約6500万年前から始まる新生代の、昆虫や鳥類、恐竜、哺乳類、被子植物、猿人までの化石が紹介されている。一片の化石からその生き物がどのような物を食べ、どのような気候や環境に生きたのかを探るというのは面白い作業なのであろう。しかし、どうしても化石や生物に興味のない自分を発見してしまう。

7000年前に滅びたはずのシーラカンスがアフリカ大陸とマダガスカル島に挟まれたコモロ諸島で発見されたという話は、内田康夫の小説『シーラカンス殺人事件』で知っていたが、強烈な異臭を放つシーラカンスの死骸をタクシーで運ぼうとしたり、解剖したりする努力があったのである。