投稿者「heavysnow」のアーカイブ

鹿島港見学

ホテルを出発して、近くの鹿島港に立ち寄った。
国土交通省関東地方整備局のホームページによると、鹿島港は茨城県鹿島市と神栖市の両市にまたがり、鉄鋼、石油化学、飼料、木材の輸入基地となっている。コンテナは思ったほど多くはなかった。かつては砂丘が広がる地域だったが、高度経済成長の1960年代から建設が始まった人工の掘込港である。港湾の建設と工業団地の建設が同時に進んだため、石油化学コンビナートと鉄鋼コンビナート、飼料コンビナートがきれいに区割りされている。また、海水だけでなく、霞ヶ浦の豊富な淡水も利用できる立地も好まれたとのこと。

2023年度の農林水産省の統計によると、鹿児島・志布志港と北海道・苫小牧港、茨城・鹿島港で日本の飼料の輸入の半分を担っている。

残念なことに、展望台は老朽化のため5年ほど前に利用が休止されており、遊覧船も船体の不具合のため営業を中止していた。さらっと見ただけであるが、人工で作った港の規模の大きさはしっかりと実感できた。

銚子ジオパーク

子どもと一緒に銚子の犬吠埼の灯台と銚子ジオパークミュージアムに出かけた。
灯台の方はたった30m登るだけで立っていられないほどの強風であった。ネットで調べてみたところ、風速15〜17mくらいだったようだ。風速20mや30mの世界がどれほど怖いのか、少し想像が働くようになった。

その後、銚子ジオパークミュージアムに出かけた。子どもは飽きたようで、私一人の見学であったが、私もすぐに飽きてしまった。説明のパネルも少なく、模型物も映像もない学生の発表のような内容であった。

『日本の基本問題を考えてみよう』

中馬清福『日本の基本問題を考えてみよう』(岩波ジュニア新書,2009)を読む。
憲法と安全保障を中心とした内容で、読みやすい文章であった。最終章で筆者は次のように述べる。先の参議院選挙での参政党や日本保守党に寸鉄人を刺すような言葉である。

どうやら、愛国心のもち主には二種類あるらしい。ホンモノとニセモノ。それを見分けるにはどうすればいいか。やたらと愛国心を口にしない人はホンモノ。まず国家があってその下に国民がある。そんな愛国心を説く人はニセモノ。個人と国家、その双方の独立を基盤に愛国心を考える人はホンモノ。ことさら特定の国にこび、事実上そこの従属国になっていながら、知らぬ顔をしている人の愛国心はニセモノ。これが私の識別法です。

筆者は、福沢諭吉の『学問のすゝめ』の一節「独立の気力なき者は必ず人に依頼す、人に依頼する者は必ず人を恐る、人を恐るる者は必ず人に諛(へつら)うものなり」を引用しながら、アメリカ従属の姿勢からはまともな愛国心が育たないと断じている。また、ニセモノ愛国者は、個人の尊重や思想及び良心の自由を重んじてきた戦後教育こそが、愛国心を否定してきたと捉える傾向が強いと分析する。

『夕凪の街 桜の国』

こうの史代『夕凪の街 桜の国』(双葉社,2004)を読み返す。
10年ほど前に読んだことのある漫画である。前半は被曝によって直接亡くなった家族の物語、後半は疎開して被曝を免れた弟の子供世代、いわゆる被曝2世の物語となっている。その間30年近い開きがあるが、血が繋がっているように、被曝の体験もまた繋がっているというのが作者の思いである。

『人なつかしき』

瀬戸内晴美『人なつかしき』(筑摩書房,1983)をパラパラと読む。
作者は数年前に他界された瀬戸内寂聴さんである。改めてWikipediaで作者の項を読んでみたが、えらく経歴の多彩な方である。

本書はタイトルにもある通り、作者が出会った文学者や編集者の人物評がまとめられたものである。1980年前後に雑誌に掲載された古いもので、彼女の個人的なやり取りが続き、ほとんど活字を目で追うだけであった。

唯一目を引いたのは、作者が評伝を書いた小説家・岡本かのこの息子の岡本太郎氏とのやりとりであった。岡本かのこの小説を読んだことがあったので、彼女の息子さんが芸術家・岡本太郎氏であったのかと感慨に耽った。