投稿者「heavysnow」のアーカイブ

『北京の旅』

陳舜臣『北京の旅』(平凡社,1978)をパラパラと読む。
北京原人から春秋戦国時代の燕の首都、李自成の乱による北京攻略、現在(といっても50年前だが)の近代化した北京の様子まで、さらっと時間軸を超えていく。

北京を首都とした清朝は、満州族が漢民族を支配する強固な体制というイメージが強い。満漢併用制や辮髪の強制など、満州族の独自性を貫いたと思っていたが、本書によると、清末にはほとんどの満州族は満州語が話せなくなったそうである。皇帝自身も漢語しか話せないほど、中国に呑み込まれていったという解釈が正しいのであろう。

『京都遍歴』

水上勉『京都遍歴』(平凡社,1982)を少しだけ読む。
著者は9歳半で若狭から上京し、21歳の時に東京に出てきている。その間12年あまり京都で生活した時の思い出をまとめた紀行文が収録されている。京都の寺社の裏道や川沿いの景色が中心なので、正直京都に詳しい人でないと、面白さは半減どころか皆無である。

『筋肉はなぜ動く』

丸山工作『筋肉はなぜ動く』(岩波ジュニア新書,2001)を少しだけ読む。
正直、読者のことを想定せず、前著の研究書を平易な言葉で書き直しただけで、中高生が理解できる取っ掛かりがなく、生物は難しいという印象しか与えない。

『ゲーム脳の恐怖』

森昭雄『ゲーム脳の恐怖』(日本放送出版協会,2002)をパラパラと読む。
著者は刊行当時、脳神経科学を専門とされている日本大学教授である。本書では脳波分析を通してゲームが脳にどのような影響を及ぼすか、分かりやすく説明されている。分析によるとテレビゲームやケータイゲームのプレイ中は、意志や創造、思考、感情を司る脳の前頭葉が反応しないことが判明した。また、長期間ゲームを続けていると、ゲームをしていない時間も前頭葉の働きが悪いことが分かってきた。特に感情に乏しくなり、キレやすくなったりするのが科学的な分析を通して証明されてきたのだ。しかし、一口にゲームといっても身体を動かすダンスゲームや文章を読むロールプレイングゲームでは前頭葉の活動が見られたとのこと。

そして、最後に著者はゲーム脳に対して、「スキンシップ」と「手をとって教えること」が大切だと述べる。

『台湾に生きている「日本」』

片倉佳史『台湾に生きている「日本」』(祥伝社新書,2009)をパラパラと読む。
著者は1969年生まれで早稲田大学教育学部教育学科を卒業されている。卒業後はベネッセコーポレーションに就職され、その後台湾へ移住され、1895年の下関条約から1945年の日本の敗戦まで、日本の統治下にあった台湾を愛し、当時の日本政府が整備したインフラに強い関心を持たれている。旅行ガイド的な内容で、台湾各地に残る日本の建造物や文化財が、北の台北から南の高雄まで網羅的に紹介されている。
50年間の統治時代をいたずらに礼賛することなく、かといって頭ごなしに否定することなく、現在も台湾の生活や文化に息づいているのかという点から評価・解説をしている点は好ましい。