40代最初の旅 伊勢〜熊野〜高野山 3日目
新宮駅のロータリーで目が覚める。太地町を目指して無料の高速道路「那智勝浦新宮道路」をとばす。しかし、腹が減ったので、那智勝浦駅で一休み。勝浦港に面した市場近くの食堂でマグロ定食を食べる。マグロ自体は美味しかったが、醤油が濃い口で刺身の上手さがいまいち分かりにくかった。
勝浦港を出発し、那智の滝(飛瀧神社)に到着。これで日本三大瀑布(華厳の滝、那智の滝、袋田の滝)を全てクリアーした。しかし、滝の周辺は2011年9月の台風12号の爪痕が深く、土砂の撤去作業が未だに続いていた。
飛瀧神社の前に車を停めたまま、那智大社、青岸渡寺まで石段を昇っていく。熊野大社は熊野灘から上陸した神武天皇が、那智山に光り輝くのを見て滝を探り当て、神として祀ったのが由来とされている。行きは汗ダラダラかいて、帰りは雨でベタベタになってしまった。車で上ってくれば楽だが、江戸時代まではここまで全て歩いたのである。先人の偉業に脱帽するばかりである。
那智大社への参詣の道となっていた熊野古道大門坂付近を2・3歩だけ歩く。もう少し季節が和らげば、ピクニック気分で散策してみたいものである。
那智大社からの帰り道。那智川沿いの市野々付近の様子。護岸工事が絶え間なく続いている。東日本大震災の年の夏、ホットスポットだ計画停電だと騒いでいた頃だったので、正直私もあまり印象に残っていないが、甚大な被害である。
新宮市の駅前にある徐福公園の様子。徐福とは、秦の始皇帝の命を受け、東方海上の蓬莱山に自生する不老不死の薬を得んと3000人を引き連れ旅立ったという伝説上の人物である。しかし、全てが観光客向けの内容で、ちょっと眉唾な内容であった。
雨が降りしきる中、神倉神社を目指す。世界遺産の一つなのだが、看板もほとんどなく、住宅地の外れの駐車場の奥にあり、都会の忘れ去られた神社のような居住まいである。
538段のデコボコした石段を昇っていく。午前中の那智大社で疲れていたので、修行のような参詣となった。頂上には今にも空へと浮かび上がっていきそうな御神体の巨石が鎮座している。他に誰もいなかったので、巨石の周りをじっくり眺めることができた。
熊野速玉大社に到着。目の前の無料駐車場にすぐ車を停められるので便利である。
伊弉諾尊と伊弉冉尊(おおっ、一発で変換された。マイクロソフト社も気を遣っているのか)の夫婦をご祭神とする格式ある神社である。もともと神倉山に祀られていたものだが、現在の地に移り、新宮と呼ばれるようになったのである。
説明書きによると、京都を出発し、住吉、和泉、紀伊半島海岸沿いを南下して、田辺、中辺路、本宮、熊野川を下って熊野速玉大社、那智山、雲取、本宮、往路コースを逆行して帰京するまで20数日で回ったそうだ。松尾芭蕉もびっくりの健脚ぶりである。さらに、こうした熊野御幸を後白河法皇は33回、後鳥羽上皇は29回、鳥羽上皇は23回も敢行したという。まさにギネス級の記録である。
古代ギリシアで、マラトンからアテネまでギリシア軍の勝利を知らせるために走りきったという42.195キロなど、この熊野詣での前には霞んでしまう。
熊野速玉大社から熊野大社まで、国道168号線を走ればすぐなのだが、地図を眺めると、熊野川を挟んで「美味しそうな」都道府県道740号線が並走しているではないか。新熊野大橋を越えて、ウキウキ気分で快走した。御船島の脇を抜け、浅里地区に入る。2年前に廃校になった浅里小学校の前を通る。3年前に買ったカーナビでは浅里小学校、中学校の校舎が表示されているのに、校舎の跡が全くない。不思議に思いながらも飛雪の滝に到着。人がほとんどいないのにきれいに整備された公園であった。
しかし、この飛雪の滝から先は行き止まりであった。「折角ここまで来たのに〜」と悔しい思いで来た道を10キロほど戻り、国道168号線に乗る。
後ほどネットで調べたところ、この浅里地区は台風12号の被害が甚大だった地域で、地区全体が壊滅的な被害に遭っている。飛雪の滝周辺が整備されていたが、それは土砂を丁寧に撤去した成果だったのである。国道168号線を北上していくと、土砂によって何カ所も道路が寸断されている現場が目に飛び込んできた。
眠い目をこすりながら、本日最後の目的地である熊野大社に到着。
八咫烏も祀られている真っ黒い社殿が荒々しい武骨な雰囲気を醸し出していて、単純に格好良いという印象を持った。こちらも台風12号の影響なのか、あちらこちらで改修工事が行われていた。雨のため、中州にあったという旧本宮は遠くから眺めただけ。
熊野本宮参詣が終わって、4時過ぎとなった。折角だから全国で一番広い村という奈良県十津川村を見てみたいと、そのまま国道168号線を真っ直ぐ北に向かう。「陸の孤島」という表現がしっくりくる村であった。十津川村歴史民族資料館を目指すも、着いたのが午後の5時5分。入場は4時半までであった。仕方ないので十津川村役場と道の駅をぶらぶらと物色した。
疲れも出てきたので、今回唯一のホテル宿泊となった川湯温泉に向けて出発する。
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