『eエコノミー入門』

宿南達志郎『eエコノミー入門』(PHP新書 2000)を読む。
日米におけるeコマースの発展を比較しながら展開したものであるが、その将来を楽観的に描いたものである。著者は電電公社時代からのNTTの社員であるが、2000年7月当時でADSLの展開を過小的に評価している点が気になった。FTTHもまだ普及には相当の時間がかかり、ISDNの全国的な展開こそがブロードバンド時代の切り札であると確信している風なのである。電々公社やNTT東西は自社回線の活用という呪縛に囚われ過ぎる点が見受けられる。電々公社時代のオレンジラインやテレビ電話、中途半端に終わったISDN、現在のLモードに至るまでNTTの政策の行き詰まりはすべてその点に集約される。LモードのCMを目にするたびに、どのような利用者層を狙ったものなのか疑問符がついて回る。

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