『医者だからこそ話せる 病院の掟』

今日の授業は「医学一般」であった。生活習慣病や精神障害、認知症の原因と対策など断片的な知識しかなかったが、元医者の教授が語るだけあって、ポイントをしぼって説明してくれたので、うまく整理することができた。

今日の大学からの帰りに、武蔵野線の新秋津駅から大宮駅まで「むさしの号」という直通の電車で帰ってきた。ボックス型の座席で田園風景から都市へとその背景を変える黄昏を横目にちょっとした旅情気分を味わった。

富家孝『医者だからこそ話せる 病院の掟』(日本文芸社 1999)を読む。
医師でありながら医療コンサルタント、新日本プロレスリングドクターなど幅広い活動をこなす著者が、病院や医者に対する聖域聖者幻想から逃れられない読者に対し、日本の病院の内情を暴露する。医者余剰の昨今、医者を食わせるために、病院も経営論理を優先せざるを得ず、効果もない人間ドックやせこい保健点数稼ぎで顧客の獲得に奔走しなければならないようだ。
著者はそうした現状に対し、一年間病院に行かなかった人に報奨金を与えるなど、国民に自助努力を課し患者の数を減らすことが、無駄な健康保険料の支出を防ぐ改革の出発点になると述べる。そして、同時に医師国家試験をもっとシビアなものに改革して医者を減らし、力量に応じた賃金体系を組むなどして医者の間に競争を仕掛けるなど、医療全体の構造改革が大切だと述べる。国民の側に医療そのものに対する幻想めいたものがある以上、なかなか医学界外部からの改革は難しいであろう。著者のような内部からの提言が効果的である。

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