玉木正之+ロバート・ホワイティング『ベースボールと野球道:日米間の誤解で示す400の事実』(講談社現代新書,1991)を少しだけ読む。
サブタイトルみある通り、タオルを用いたシャドウピッチングは日本生まれの練習法でMLBでは行っていないとか、狩猟民族のMLBには引き分けがないとか、日米の野球の違いについて400の項目で紹介されている。
しかし、30年以上前の本であり、まだ日本人がMLBに挑戦していなかった頃の話である。日本の野球スタイルが逆輸入されており、現在はどうなんだろう。
アメリカ人が日本に野球を紹介したのは明治時代初期の頃であった。それは日本人が初めて接した団体競技であり、瞬く間に日本全土を席巻するほどに人気を獲得したという。その理由として、投手と打者の対決が相撲や二人の武士による対決に類似していた点や、日本の伝統芸能や格闘技に見られるのと同様の〈間〉が存在していたことなどが挙げられる。また、当時の文部省もアメリカ生まれの団体競技を「日本人の国民性を伸長していく上で有益なもの」とみなしていた。
また、一高野球部では、武術の教義を持ち込んで、際限のない鍛錬による精神の錬磨を最も重要な要素と考えられていた。さらに、大正時代の早稲田大学野球部にも受け継がれ、高校・大学の日本の野球部に共通する思想と練習体系が作られていった。