『日本語が見えると英語も見える』

荒木博之『日本語が見えると英語も見える:新英語教育論』(中公新書 1994)をパラパラと読む。著者は広島大学や立命館大学で英文学や比較文化論を教えていた教授である。本書は著者の専門分野に関するエッセーのような内容であった。「さらさらした雪」「とろとろしたスープ」などのオノマトペが英語に訳しにくい理由や、電話口での「弟と代わりますから」というやりとりが会話主の「I 」もなければ電話相手の「you」すら省略されてしまう事例が紹介されている。日本語の曖昧さというか、日本語の持つ独特な力について論じられている。