「党規約に”独立反対”明記」

本日の東京新聞朝刊に昨日閉幕した中国共産党大会の模様が報じられていた。
中国にも日本の国会に相当する「全国人民代表大会(全人代)」という年に10日間ほど開かれる最高権力機関がある。しかし、中国は共産党しか認められていないので、全人代は形式だけで、共産党大会が事実上の最高機関となっている。

この5年に1度開かれる共産党大会が昨日閉幕したのである。欧米と距離を取り中華思想の発展を企図する習近平総書記の再任や台湾の独立に断固として反対することなどが決定している。内戦を戦った毛沢東は蒋介石が逃げ込んだ台湾島を武力での統一を考えていたと言われる。一方で、1980年代の改革・開放政策を推し進めた鄧小平は台湾の経済的発展を取り込もうと、長期的なスパンで平和的解決を望んでいたと言われる。

この点は1950年代以降の中国の計画経済が失敗した一方で、台湾はアジアNIESの一角として輸出指向型工業を中心に急激な経済成長を遂げた点からも考察できる。1980年代以降、中国沿岸の経済特区と台湾の間の活発な貿易が、世界の工場となった中国を支えてきた。昨年も中国の輸入相手国・地域で台湾が2年連続1位となっている。中国は台湾から半導体を含めた電子部品を大量に輸入しており、中国の主要産業の屋台骨ともなっている。

記事にもある通り、中国は短兵急な台湾の武力統一を望んでいないであろう。国内向けの政治的アピールという側面が強い。問題は日本や米国、韓国の対応である。バイデン大統領にせよ、岸田総理にせよ、過敏すぎる対応は控えた方がよい。

今大事なのは中国を含めた日本、韓国、台湾の互恵的な経済発展である。コロナで冷え込んでしまった観光や半導体生産で協力体制を構築することである。幸い東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを含めた「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」が今年発効されている。政治的ないざこざと経済連携を一緒くたにしてはいけない。

ちょっと話が広がりすぎた。ちょうど授業で扱ったばかりだったので、時間があれば伝えたかったことを書きました。