尾崎弘之『環境ビジネス5つの誤解』(日経プレミアシリーズ 2011)をパラパラと読む。
主に企業の経営陣を対象とした本で、バラ色で語られがちな環境ビジネスに参入する際の誤解や損益の見通しについて赤裸々に語る。環境ビジネスへの誤解として、著者は「クリーンエネルギーを増やせば増やすほどエコである」「電気自動車は異業種、中小・ ベンチャー企業を中心に短期間で成長する」「太陽光発電は『固定価格買取制度』(FIT)によって健全に成長した」「バイオ燃料は環境に優しいエネルギーである」「日本の技術力は、世界の水ビジネスをリードしている」の5つをあげる。それぞれ諸外国の失敗例や収支の悪化、ビジネスモデルとして成立していない状況などを丁寧に説明している。
一方で、「スモール・スマートシティ(環境配慮型の実験的都市)」については、環境ビジネスと都市機能の全てをひっくるめた巨大インフラとして、日本の輸出を支えるビジネスへと変貌する可能性があると論じる。
本書は東日本大震災の前に刊行された本で、原子力のコストを低く見積もっていたり、リチウムイオン電池の技術進展を見誤っていたりと、現状と合っていない点もあって読み飛ばすこととなった。