『樹木ハカセになろう』

石井誠治『樹木ハカセになろう』(岩波ジュニア新書 2011)を読む。
樹木医や森林インストラクターを務める著者が、日本人に馴染み深いイチョウやケヤキ、スギなどの生態や生育環境について分かりやすく説明されている。光合成や道管・師管など生物の勉強の簡単な復習ができた。

「光合成」をおこなっている器官が、このクロロフィルがたくさんつめこまれた葉緑体です。クロロフィルは光を吸収すると、そのエネルギーを使って水を分解し、酸素をつくります。また、吸収したエネルギーを別の物質に与え、こんどは葉が気孔から吸収した二酸化炭素を使って、ブドウ糖をつくります。
ブドウ糖は炭素、酸素、水素の三種類の元素でできていて、これらが植物の体にもっともたくさん含まれています。しかしそのほかにも窒素、リン、カリウム、カルシウムなど十数種類の元素が必要なのです。このうち、窒素、リン、カリウムの三つの元素は、植物が大量に必要であるにもかかわらず、土の中に少ないため、根からとりいれることがむずかしく、作物をつくるときには肥料として与える必要があり、肥料の三要素と呼ばれています。窒素は大気の80%をしめているほど、気体としては大量にあるのですが、植物はこれを直接利用することはできないのです。

トクサやスギナが、直径1メートル、高さ40メートルになった姿を想像できますか。いまから3億年前の、トクサやスギナの祖先の姿です。湿地に大森林をつくっていました。幹は1メートルあっても、空洞のため、もろく崩れやすかったでしょう。倒れて折り重なり、長い年月をかけて上からの圧力を受けて変質していきます。有機物は炭素を中心にほかの原子が結合していますから、熱や圧力でほかの原子が離れてしまい、炭素のかたまりとして地層に残ったのが石炭です。