「山形県沖地震 ひずみたまる「集中帯」で発生」

本日の東京新聞夕刊より
昨夜山形県村上市で震度6強を記録した地震は,新聞の図で説明すると,オホーツクプレート(教科書では北米プレート)とアムールプレート(同ユーラシアプレート)の境界線で発生している。東日本大震災の報道でも明らかになったように,太平洋プレートがオホーツクプレートの下へ沈み込む「狭まる境界」の方は解明がかなり進んでいる。一方,フォッサマグナ西縁の糸魚川・静岡構造線に繋がるアムールプレートとオホーツクプレートの境界線は,まだ未確定のままである。「逆断層型地震」が発生していることから,「狭まる境界」の範疇と考えてよいのだが,海溝や地層の褶曲といった明確な地形の変化が観測出来ていないので,記事ではひずみという言葉で表現されている。

教科書のプレート分布地図を見れば分かりやすいのだが,太平洋の東側チリ沖に,地中からのマントルが東西にわき出る「広がる境界」の東太平洋海嶺がある。その西側に位置する太平洋プレートは年間5〜10cmの速さでユーラシアプレートやフィリピン海プレートに向かって移動している。太平洋がどんどん西に向かっているので,約1億年後にハワイと東京は陸続きになるというこぼれ話があるが,それほどの圧力が日本海溝と伊豆・小笠原海溝にかかっていることを考えると事態は深刻だ。いくらプレートの研究が進んだところで,プレートの動き自体を止めることは出来ない。せいぜい境界線付近の観測点の測量データから,地震が近いことを予想するだけである。

地理は地球の「理(ことわり)」を明らかにする学問のなのだが,こと地震大国日本では,地球に対する敬虔な「畏(おそ)れ」を学ぶ「地畏(ちい)」としたほうが良いのかもしれない。
どうですか? 「地畏A」「地畏B」という科目名は。