本日の東京新聞夕刊に、エジプトのユダヤ人が第1次中東戦争(1948年)前後の12万人から、イスラエル建国などを経て、現在では高齢者を中心に9人を数えるのみになったという記事が掲載されていた。背景には、エジプトは4度にわたり「ユダヤ人の祖国」イスラエルと戦火を交え、反ユダヤ感情が高まっていった経緯がある。カイロ中心部にあるシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)は3年前、近くに爆発物が置かれて以来、物々しい鉄柵と自動小銃を持つ警察官に囲まれるようになった。一方、カイロ市内に12ヶ所残るシナゴーグだが、祭祀を行うラビ(指導者)は不在で、その保存が危ぶまれている。
代表のマグダ・ハルーンさんは「ユダヤ教徒とシオニスト(ユダヤ民族主義者)は違う。私はユダヤ教徒であり、エジプト人。ここで生まれ、ここで死ぬ権利がある」と語る。
イスラム教徒の全員がイスラム原理主義に賛同するわけではないと同じように、ユダヤ教徒の全員がイスラエル建国主義者(シオニスト)ではないということに留意する必要がある。
ユダヤ人
紀元前2000年ごろからパレスチナ地方(地中海南東岸のシリアとエジプトの間の地域)に定着し、ユダヤ教を発展させた民族。迫害を受けて世界各地に離散したため、現在では宗教的な影響が強い。イスラエルが定めた帰還法では「ユダヤ人の母親から生まれた人、またはユダヤ教に改宗した人」をユダヤ人と定義している。世界のユダヤ人人口は約1430万人(2015年)。