『ブッダロードを行く』

庭野日鑛『ブッダロードを行く:西安からウルムチへ』(佼成出版社 1985)を読む。
なかなか日本からの距離感が掴みにくいシルクロードを知ろうと思い手にとってみた。
世界地誌の勉強の一環だったので、地図を片手に、シルクロード周辺の地理を調べながらページを繰っていった。
著者の庭野日鑛は環七沿いにある「立正佼成会」を創設した庭野鹿蔵の長男にあたり、現在の「立正佼成会」の会長を務めている。この本は、作者が次期会長であった当時に、中国仏教協会の一団とともに、西安、欄州、酒泉、敦煌、陽関、トルファン、ウルムチと三蔵法師の足跡を辿っていった旅行記である。シルクロードの自然の厳しさや、三蔵法師の歩いたであろう旅の厳しさと共に、1980年代当時の中国人のおおらかな人柄や暖かさも合わせて紹介されている。

数ページごとに著者の姿がデカデカと載った写真が挿入され、なにやら宗派の宣伝本といった風であるが、具体的な地名や、風土、気候も丁寧に書かれており、十分に勉強の一助となった。特に「火焔山」で有名なトゥルファン(吐鲁番)での滞在記が興味深かった。トゥルファンはシルクロード沿いのオアシス都市として栄え、天山山脈東側の内陸にあるにも関わらず、海抜0メートル地帯になっているのだ。世界で死海に次いで2番目の低地にある。夏の気温は45度、地表の砂の温度は摂氏70度にもなるが、乾燥しているので、冬は零下20度まで下がるという。日本ではちょっと想像できないような季節感覚である。

いつか、私も、シルクロードを、気ままに、旅してみたいものだ。そのために、これからの十年、何をしなくてはいけないのだろう。

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