会議後は、ガリー・キーン、アンドリュー・マコーネ ル監督作品『ガザ 素顔の日常』(2019)の上映会が 実施された。タイトル通り、イスラエルによる侵攻が始 まる前の、“天井のない監獄”とも評されるガザ地区 に暮らす市民の日常が描かれる。前半は、商店街に は物があふれ、スポーツやおしゃれを楽しむ若者も 多く登場するシーンが続く。しかし、後半に入ると、 銃声が街中に鳴り響き、常に死と隣り合わせの不安 な日常シーンが続く。夢も希望も抱くことができず、 フェンスの中で人生を終えるしかないという諦めが、ガザ地区生まれの子どもたちへと受け継がれていく。 怒りや悲しみは、時に生きる原動力にもなるが、諦 めからは何も生まれない。そんな市民がどうしてフェ ンスの中を逃げ惑うことになるのか。映画の中で直 接は語られないが、観客の心の中に、「どうして」と いう疑問が印象付けられる映画であった。