今日の午後、春日部市内にある麦わら帽子の専門店、田中帽子店を訪れた。
直営販売所は数年前にできたおしゃれな建物であったが、工場の方は職人さんが昭和の頃のミシンやプレス機で、一つひとつ全て手作りで作業されていた。聞いたところ、春日部市内で大量に生産している店は他になく、全国でも岡山にもう一店舗を残すのみだそうだ。
趣のある作業場で、伝統の凄さを目の当たりにした。
麦わらは東南アジアから輸入されているとのこと。
珍しく自分用に麦わら帽子を購入してきた。大事に使っていきたい。
6月7日、武蔵浦和コミュニティセンターで第2回くじら会議が開催された。羽田委員長より勤務校の子どもたちが楽しみにしている行事の削減と、相反する働き方改革の兼ね合いについて話があった。コロナ禍以降すっかり元に戻った感のある学校現場であるが、何を戻して、何を変えていくのか、詰めの議論の積み重ねが必要である。
★給特法はあくまでも廃止
続いて、給特法改正の国会審議の傍聴報告があった。文教委員会に石破総理自身が出席する珍しい場面もあり、今国会の大きな議題となっている。時間外在校時間を平均30時間程度に削減し、現在一律4%の「教職調整額」を2031年までに10%に引き上げる給特法改正については、日政連議員(日教組出身の議員)を中心に実現に向けて取り組んでいる。(6月11日の参院本会議で可決、成立)しかし、再三お伝えしているとおり、日教組、埼玉高教組は教員の長時間勤務の温床となっている給特法そのものの廃止を求めている。給特法のために「定額働かせ放題」の状態になっており、それは10%になっても同様。むしろ、10%と増えたのだから、もっと働け、となりかねない。給特法を廃止し、残業代を出すという、労働基準法に沿った環境にしないと、いつまでも「定額働かせ放題」である。日政連議員は改正案が成立後も政府とやり取りしていくので、我々も適宜、皆さんにお伝えしていきたい。
★分校はインクルーシブではない?
分会報告では特別支援学校の分校の体育祭の様子が報告された。当該の高校と一緒に開催されるものの、クラス対抗の流れに加えてもらえず、特定の種目だけ参加するゲスト扱いであった。もっと生徒同士の関係を深めるような運営が模索されてもよいのではなかろうか。また、在籍する多様な生徒への「合理的な配慮の提供義務」(障害者差別解消法)が周知されていない学校現場の報告もあった。その他、教員用トイレの未整備や文化祭のクラスTシャツの負担、業務主事の労働環境など、同じ埼玉県立の学校でも大きな差があることが共有された。
★「戦雲」映画上映会
会議後、与那国島や宮古島、石垣島、沖縄本島で急ピッチで進む基地拡大を扱った、三上智恵監督『戦雲(いくさふむ)』の上映会が行われた。ちょうど10年前、今は亡き坂本龍一氏や学生団体が国会前で反対の声を上げた「日米防衛協力のための指針」の改定後、日本・極東だけでなく、アジア・太平洋地域全域で展開される日米軍事同盟の実態がまざまざと描かれている。防衛省は当初、島を守るために地対空ミサイルや沿岸監視隊を配備すると説明していた。しかし、いざ工事が始まると、手のひらを返すように住宅地のすぐ脇で軍事演習が繰り返され、台湾有事を想定した敵基地攻撃能力のあるミサイル基地やイージス艦が入港できる軍港が矢継ぎ早に建設されている。また、危険な弾薬庫も村のそばに建設し、しかも頑丈な建物は自衛隊員がいざとなればこもるもので、住民は避難できない。挙げ句の果てには、酪農や伝統芸能に生きる喜びを見出す島民を失意のどん底に突き落とす九州他県への強制移住計画まで持ち上がっている。「国民のため」「市民のため」「教員のため」に導入されたものが、実は毒まんじゅうであったという事例は心に留めておきたい。
分会報告続々
4月12日、武蔵浦和コミセンで、各学校の代表が会した、今年度最初のくじら会議が行われた。冒頭、羽田委員長より、働き方改革の掛け声が喧しくなる一方で、教員不足の対応が現場丸投げになっている現状が報告された。続いて、新任式での情宣の様子や給与改定及び共学化の意見交換会などの県教委の情報、国会での給特法の議論、日教組の動きなどが紹介された。
各分会からの報告では、小・中学校だけでなく、県立高校や特別支援学校でも教職員の未配置が顕在化してきた事例が報告された。また、前回の鯨波でも取り上げられたとおり、近年県立高校内に特別支援学校分校の設置が相次いでいるが、県立高校の教員の中には「高校側が主で、特支分校側が従」といった意識が蔓延しているとの報告があった。特支分校の教員や生徒が県立高校の校舎の間借りをしているような肩身の狭い思いをしており、早急の改善が求められる。また、校舎の鍵開け(朝7時半!)が教員の輪番で組まれている学校があり、校長交渉で早速改善に向けて動き始めた事例の報告もあった。
他にも、新採用の教員に分掌主任が振られるケースや、男女別学校での性差別意識の蔓延、教員間のパワハラ、新聞でも取り上げられた校歌・応援歌指導など、県教委との直接交渉が必要とされるような話題も多く寄せられた。
改めて勤務時間の服務規定の確認を
協議事項では、県が提示していた2024年度末までに時間外在校等時間が月45時間、年360時間を超える教員をゼロにするという目標が全く達成されなかった点について議論された。県は今年度新たに「学校における働き方改革基本方針」を提示したが、目標を示すだけで、実効策が伴わなければ、また同じ轍を踏むだけである。
中執から、校長交渉のポイントとして、勤務時間(1日7時間45分勤務で45分時間の休憩時間)や病休の扱い、勤務時間の割り振りなどの細かい取り決めの説明があった。過去の組合の先輩が中心となって勝ち取ってきたものである。組合と県教委の合意のもとに運用してきた制度を、現場の管理職が理解していないこともあるので、不審に思ったら組合に確認の連絡をお願いしたい。
会議の最後に、今年度退職された先生とくじら採用試験講座を利用して合格された先生方を祝うささやかな会が行われた。先生方の周りに埼玉県の教員を希望している方がいたら、ぜひ実績のあるくじら講座をご紹介いただきたい。