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『通関士になろう! 新版』

片山立志『通関士になろう! 新版:貿易実務のプロを目指すガイドブックの決定版』(PHP研究所 2001)をパラパラと読む。
著者は通関士養成機関のマウンハーフジャパンを立ち上げた人で、本書には通関士の将来性や仕事の醍醐味、国家試験の内容、合格術、合格体験記が収録されている。内容が分かりやすく、ぱらっと読んだだけだが、通関士業務の一端は知ることができた。

ただし、関税法や関税定率法、関税暫定措置法などに照らして、インボイスなどの申告書の作成が中心の業務で、AIで代替できるじゃんと思いながら読み進めていった。確かに通関業務の書類作成はAIで充当できるが、通関業務の知識や経験をいかしたEPA・FTAアドバイザーや運送代理店などでのコンサルティング業務は人間相手ものなので、必ずしもAIに取って替られる職業ではない。

学校現場では何度も繰り返されている議論であるが、知識そのものの多少や正誤を重視するのではなく、知識を活用する技能や、それらを応用する思考・判断・表現が人間には大切なのである。本書の狙いではないが、そうしたAI時代に必要な教育を考えるきっかけにすることができた。

『暗黒星』

江戸川乱歩『暗黒星』(ポプラ社 1971)をパラパラと読む。
表題作のほか、『二銭銅貨』という初期の短編も収録されている。
正直どちらも面白くなかった。『二銭〜』の方は1923年に発表された著者の処女作である。
『暗黒星』の方は、生まれた時にすり替えられたことが原因の殺人事件で、動機としては腑に落ちないものであった。また、『二銭銅貨』もたまたま歩いている途中で犯人のタバコと同じ銘柄の吸い殻を見つけるという突拍子も無い展開で、話に入り込めなかった。

『金融屋』

笠虎崇『金融屋:借金漬けにされる消費者たち』(彩図社 2007)を読む。
著者は埼玉県立川越高校から中央大学法学部を卒業し、大手消費者金融アイフルに就職し、不動産部門担保ローン部でトップセールスマンとなった。退職後、4ヵ月、アジアを放浪。帰国後、編集・ライター・カメラマンに転身した異色の経歴の持ち主である。

大手消費者金融といえど、貸付にあたっては銀行からお金を低率で借りて、返済能力や計画を審査し、金利や経費を上乗せして消費者に貸すという仕組みは変わらない。多くの銀行はバブル期に右肩上がりだった不動産を担保として貸付をしたために、バブルがはじけ、一気に回収不能な不良債権となり経営を圧迫した。その反省をいかし、サラ金業社の多くは回収不能の危険がありながらも無担保ローンを中心にしてきたという経緯がある。

著者は大卒の大手に勤務しているが、街金業社とのやりとりが興味深かった。大手はネットで申し込み、銀行振込など対面でのやりとりがどんどん減っている。一方、街金業社は対面返済にこだわり、客との会話や客の細かい様子の変化からアドバイスを行なっているという。
サラ金だけでなく、医療や教育にも通じる話かもしれない。

貸した客はちゃんと最後まで面倒をみなければいけない。そのためにはな、対面返済をさせなければダメなんだ。
昔ながらの街金にはな、人情があったものだ。客がこれ以上借金を背負わないで、きちんと返せるように、顔を突き合わせるたびに励ましたり、怒ったりしてな、客もそれを恩義に感じてきっちり返しにきたものだよ。今考えると、それはカウンセリングかもしれないな。

『ペットと動物の仕事』

高橋秀一編集『ペットと動物の仕事』(主婦の友社 2000)を読む。
「なるにはブックス」のような内容で、動物園や水族館の獣医師や飼育係、調教師、動物看護師、トリマー、ブリーダー、犬の訓練士など、動物に関わるあらゆる仕事が紹介されている。また、動物プロダクションや動物の服のデザイナーなど珍しい仕事も含まれている。

今回は意図的にそうした現場で働く女性のみが20人ほど取り上げられている。どの女性も仕事に対する熱意とやりがいを語っている。しかし、正社員といえど保険やボーナスもなく、大変低い給料で働いている。刊行当時にはなかった「やりがい搾取」という言葉が思い浮かんでしまう。教育や保育、動物、アニメ、ゲームなど、その対象が愛おしいほど仕事にやりがいを感じるのは否定できない。しかし、その結果として生活できない、結婚できない、家庭を維持できなくなっては困る。仕事が面白いほど、足元を見つめ直すことが必要である。

『自転車で旅をしよう』

自転車生活ブックス編集部『自転車で旅をしよう:初めてでも楽しめる週末ツーリングのすべて』(ロコモーションパブリッシング 2005)を読む。
週末のサイクリングに必要な準備や計画に始まり、自転車の選び方やバッグ、アクセサリーの説明、乗り方や宿泊、先達の自転車旅の醍醐味など、自転車旅の全てが詰まっているムック本である。

2005年に刊行された本なので、スマホがない頃なので、「ツーリングの超基本アイテム」の地図の折りたたみ方や地形図の購入方法、1/25,000と1/50,000、1/200,000の地形図の特徴など、今となっては隔世の感すら感じる部分が印象的であった。また、当時から26インチMTBに700cのロードタイヤをつけた舗装路ツーリングスタイルを奨励するショップの記事も興味深かった。