日経BPムック『防犯セキュリティガイド:ビル・住まい・まちの最新事例に学ぶ』(日経アーキテクチュア 2004)を手に取った。
ムック本であるが、業者向けの内容で、防犯カメラや指紋認証ドアロック、防犯ガラスなどの商品の紹介がメインの記事となっている。ビルのICカードのバーゲートやビッキングしにくいディンプル錠など、普段目にしない広告が印象に残った。
「読書」カテゴリーアーカイブ
『暮らしのなかの第三世界』
北沢洋子『暮らしの中の第三世界:飽食と繁栄VS飢えと貧困』(聖文社 1989)を読む。
現在では「第三世界」という用語は死語になっており、「グローバルサウス」という語が使われている。インドやブラジル、タイ、南アフリカのような、南半球に位置するアジアやアフリカ、中南米地域の新興国・途上国の総称であり、執筆当時の1990年当時、世界経済(名目GDP)に占める先進国のシェアは80%、途上国は20%だった。しかし、2020年には先進国60%、途上国40%になっている。
現代史の本という感じで読んだ。コロンブスがカリブ海にやってきた翌年の1493年には、エスパニョーラ島で砂糖生産が始まっている。カリブ海の温暖な気候と豊富な雨量が砂糖キビの生産に適していた。16世紀にはこの島の工場は200を数えるようになり、年産1600トンの粗糖がヨーロッパに運び込まれた。当時のヨーロッパは砂糖は金銀・真珠なみの貴重品として扱われていた。
最初はヨーロッパからの移民労働が中心だった。原住民のインディオは抵抗したのでほとんど殺してしまったからである。やがて白人労働者だけでは間に合わなくなり、アフリカから黒人を連行して使役するという方法を考えついた。こうして奴隷貿易が始まった。
18世紀には砂糖は世界貿易の最大品目となった。これは19世紀の鉄鋼、20世紀の石油に相当する。
広葉樹林は落葉が土壌を肥やし治水に役立っているが、針葉樹林にはこのような効果がない点も問題である。
特にユニリーバのアフリカ侵略に関する項が興味深かった。ユニリーバは世界で最も古い、最も大きい石鹸とマーガリンの多国籍企業である。日本でも食品の「リプトン」や「クノール」化粧品の「LUX(ラックス)」や「Dove(ダブ)」「モッズ・ヘア」、洗剤の「ジフ」「ドメスト」など多数のブランドを展開している。このユニリーバ社はコンゴでベルギーの雇い兵を使って、住民の生活や環境を破壊してパームやしのプランテーションを拡大してきた。またマーガリンも落花生をからとれる植物油を原料とするため、フランス領セネガルでコンゴと同様の強制を行なっている。
『ウェブがわかる本』
大向一輝『ウェブがわかる本』(岩波ジュニア新書 2007)を読む。
非常に読みやすい本であり、半身浴をしながら斜め読みでも全文を読むことができた。
著者は執筆当時国立情報学研究所助教と総合研究大学院大学助教を併任している情報学の専門家である。2019年からは東京大学大学院人文社会研究系准教授に就任している。
ヨーロッパ原子核研究機構のティム・バーナーズ=リーのハイパーテキストに始まり、イリノイ大学のマーク・アンドリーセンらによるモザイクブラウザ、スタンフォード大学生のデビット・ファイロとジェリ・ヤンが設立したヤフー、同じくスタンフォード大学のサー藝・ブリンとラリー・ペイジによって作られたグーグルに至るウェブの発展の歴史が分かりやすくまとめられている。専門的な解説は一切なく、ウェブの仕組みや活用法などが丁寧に説明されている。いかんせん15年前の本なので、ブログとSNSの役割の違いや、Wikipediaの紹介など、かなり知られた情報もあるが、それ以上に文章の上手さが印象に残った。
『アフリカ大陸から地球がわかる』
諏訪兼位『アフリカ大陸から地球がわかる』(岩波ジュニア新書 2003)を読む。
これぞ岩波ジュニア新書という、中身のある内容であった。名古屋大学で長年にわたって地球物理学を教えていた学者による本で、一流の専門家による分かりやすい文章で読み応えがあった。
アフリカ大陸は、面積約3,000万平方キロメートル、南北の長さ約8,000キロメートル、東西の幅約8,000キロメートルの大きな大陸です。大陸の南東に浮かぶマダガスカル島一つが、日本列島の2倍近い面積をもっています。緯度からいえば、アフリカ大陸の北端は、日本の東京とほぼ同じです。また、アフリカ大陸の南端は、オーストラリア大陸の南端とほぼ同じです。つまり、東京からオーストラリアの南端まで、太平洋を陸地で埋め尽くしたのが、アフリカ大陸です。
パンゲアとはギリシア語で「すべての大地」という意味です。
『日本人のための英語術』
ピーター・フランクル『日本人のための英語術』(岩波書店 2001)をパラパラと読む。
著者は、ハンガリー出身の数学者で、刊行当時早稲田大学の理工学部で英語(数学?)を教えていた。
英語を学ぶというよりも、英語を教える先生へのアドバイスといった内容である。発音や文法の完璧主義が学習を阻害するという点が印象に残った。会話でも英作文でも知っている簡単な言葉を繋げて、間違っても良いから継続することが大切だと述べる。