読書」カテゴリーアーカイブ

『解決されていない科学のテーマ』

飛岡健『解決されていない科学のテーマ』(東京書籍 2000)を読む。
参考文献の焼き直しのような内容で、イラストや写真がほとんどなく、面白くない本であった。
唯一参考になったのが、世界中の赤ん坊は「a→u→i」ん順に発生するという話であった。なるほどと思った。

『どうころんでも社会科』

清水義範『どうころんでも社会科』(講談社 1998)を読む。
「小説現代」の1997年1月号から1998年の8月号に掲載された内容である。色々と勉強になることが多かった。いくつかまとめておきたい。

かつて東海道で、唯一陸路ではなく海路になっていたのは、名古屋市内の東部にある熱田神宮から三重県の桑名までであった。濃尾三川(木曽川、長良川、揖斐川)の流れが強く、渡れなかった場所だったからである。そして知多半島は伊勢神宮と熱田神宮の間の中継地となっていたのである。

志摩半島はリアス海岸で有名だが、リアスとはスペイン北西部のガリシア地方にある地名で、入江の多い地方(Costa de Rias Altas)が由来となっている。志摩スペイン村があるのも、その点に関係があるのだろうか。

富山平野は3000メートル級の高山に囲まれているため、洪水が起きやすく、藩の財政は苦しかった。富山で薬売りが有名になったのは、立山で古くから修験道が行われ、立山御師と呼ばれる山伏が薬草に通じていて、薬を作る技術を持っていたことに始まる。そこで、人々が自由に移動できない江戸時代において、富山の薬売りだけが全国へ出向くことが許されていた。

江戸時代昆布は北海道でしか採れなかった。しかし、関東のうどんがカツオだしで黒いのに対し関西のうどんつゆはは昆布だしで薄口となっているのは、江戸時代に日本海を繋いでいた北前船のためである。京都のにしんそばや沖縄の料理に昆布が使われているのも同じ理由である。

 

『おもしろくても理科』

清水義範『おもしろくても理科』(講談社 1994)を読む。
講談社が発行していた月刊の文芸PR誌・文庫情報誌『IN★POCKET(イン・ポケット)』に、1991年から94年にかけて掲載されていたエッセーである。
ちょうど私が購読していた時期なので、掲載当時読んでいたのかもしれない。

内容は物理、科学、生物、地学に関する魅力を伝えるエッセーである。宇宙の大きさや、相対性理論の不思議、ダイナミクスな地球の歴史について分かりやすく語られる。

『オランウータンの不思議社会』

鈴木晃『オランウータンの不思議社会』(岩波ジュニア新書 2003)をパラパラと読む。
著者は言わずと知れた京都大学霊長類研究所(2022年3月で改変)の研究員である。長年にわたってインドネシアのカリマンタン島で、野生のオランウータンの行動を観察し、人間に近いグループ行動や恋愛行動を紹介している。オランウータンはインドネシアのカリマンタン島とスマトラ島の2つの島にだけ生息している動物である。一匹ずつ「ペーペー」や「サンカク」「エンタン」などの名前を付けて識別している点は、さすがは霊長類研究所員である。

『能を楽しむ』

増田正造・戸井田道三『能を楽しむ』(平凡社カラー新書 1976)をパラパラと読む。
イランやドイツで能舞台の海外公演が大人気という話題に始まる、能舞台の入門書となっている

兼好法師の徒然草「花は盛り」の一節「都の人のゆゆしげなるは、 睡りていとも見ず。」を挙げて、中世の頃からお花見や葵祭の見物で、派手さだけを喜び、心で鑑賞する余裕や間を味わうゆとりが失われており、ましてや現代において寡黙な文化が