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「ウクライナに親ロ政権画策」

本日の東京新聞朝刊より。
連日ウクライナへのロシアの侵攻が秒読み段階に入っているとの報道が続く。
記事ではウクライナへの侵攻に前後して、親ロシア政権の樹立に向けて、ウクライナの政治家に働きかけをしているらしいとの、未確定な部分の多い内容となっている。

こうした米中路露の大国が、小国の反政府活動を支援して、軍事クーデターでもって当該国に近い政権を樹立するというのは国際政治の常識である。冷戦化の中南米においても、エクアドルやボリビア、ウルグアイ、チリなどで、米国の支援を受けた軍部がリベラル政権の転覆を図り、米国とのパイプを重んじる親米政権がいくつも誕生している。私たちが暮らすこの日本も同じベクトルに位置づけられるのかもしれない。

この手の話は、政治的な思惑が蠢く、観測記事的な要素が多分に強く、007 の映画のようで興味深いが、大騒ぎしない方がよいだろう。

「ロシア軍集結問題 外相会談」

本日の東京新聞朝刊記事より。
連日ロシアとウクライナの緊張が報じられている。2014年に続いて、ウクライナへの侵攻準備を着々と進めるプーチン大統領と、ウクライナ国内に米軍を配置する北大西洋条約機構(NATO)の拡張を粛々と進めるバイデン大統領との間の不穏な空気が一層強まっている。

話題の中心となっているウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、元々俳優であり、政治ドラマで大統領を演じ好評を博したことから、あれよあれよという間に現実世界でも大統領となった異色の経歴の持ち主である。まだ43歳の若い政治家である。

ウクライナは欧州に近い西部はウクライナ語圏でEU寄りである。一方ロシアに近い西部(ドネツク地方)はロシア語を話す人が多く、ロシアとの併合を望むものもいる。ゼレンスキー大統領自身は欧米寄りであり、米軍の援助を受けてロシアの追い出しに動いているらしいとのこと。

ロシア情勢に詳しい防衛省防衛研究所の兵頭慎治政策研究部長は、朝日新聞の取材に対し、「ロシアにとってのウクライナ問題、中国にとっての台湾問題は似ている。どちらも、米国の対応を見極める試金石になるからだ。中国は今、ウクライナ情勢で米国がどういう反応をするのか、注視しているだろう」と話しているそして「ロシアも中国も、お互いに相手を自分の紛争に巻き込もうとするだろう。特に中国は台湾問題に、ロシアの核抑止力を政治利用したいと考えているはずだ」と語っている。

つまりウクライナと台湾は米国との政治カードに使われており、ユーラシア大陸の東西で米露が米国との駆け引きが展開されているというのだ。冷戦の頃は、ソ連邦と中国は同じ共産主義国でありながらも対立していたので、ソ連軍と中国軍が共同歩調を取ることはなかった。しかし、この「ウクライナ-台湾」問題では、中ロが密接に連携を取っているかのようである。

トンガ津波 ペルーで原油流出」

本日の東京新聞夕刊記事より。
トンガからペルーまで約11,000キロメートルも離れている。そんな距離を津波が襲ったのかと思うと同時に、「あれっ、ペルーって産油国だっけ」と思った。記事をよく読むと、ペルー国内で作られた製油ではなく、どこかの国の原油をペルー国内にある製油所に荷下ろし中に被害に遭ったようである。

ちなみに、2020年の世界の原油生産量ランキングによると、ペルーは世界第40位である。中南米の西側は環太平洋造山帯に属しており、産油国が多い。メキシコは同第11位。コロンビアは同第20位、OPEC(石油輸出国機構)に加盟しているベネズエラとエクアドルはそれぞれ26位、28位となっている。

他の記事にあたった訳ではないが、ペルーで産出されたものではなく、輸入された原油であろうと推測される。

「リトアニア 中国圧力に動揺」

こちらは少し分かりにくい記事かもしれない。
バルト海に面したバルト3国の一つリトアニアが台湾を独立国として承認することで、明確に反中国の姿勢を打ち出したことに対する中国のえげつない圧力の模様が報じられている。

リトアニアはカトリックの国で、かつてロシアと一緒にソ連邦の構成国の一つであった。1944年に無理やりソ連に併合され、1990年のソ連邦の崩壊と共に独立を果たす。現在でも反ロシア感情が強く、その延長上でロシアと軌を一にする中国への反発も強いとのことである。人口300万人に満たない小さな国が反旗を翻す姿は、判官贔屓の日本人の心根をくすぐる。