地理」カテゴリーアーカイブ

「カタールの天然ガス カギ」

本日の授業で紹介した記事より。
ウクライナ情勢が一日ごとに緊張を増している。そうした背景の一つに欧州の天然ガスの問題がある。環境に敏感な欧州は、パリ協定(国連気候変動枠組条約締約国会議COP21))においても、脱石炭火力発電を主導する立場となっている。ドイツやオランダといえども、まだ現状は再生可能エネルギーだけで国内のエネルギー需要を満たすことはできない。天然ガス火力発電と、原子力発電を二本柱にしているフランスなどの例もある。

記事の中の地図を見てもらえば分かるが、天然ガスが豊富なロシアから何本もの天然ガスパイプラインがEU諸国に接続されている。ロシアはスイッチ一つで欧州向けの天然ガスを止めることができるのだ。多くの工場を抱えるEU諸国も産業を止めるわけにはいかないので、いざウクライナ戦争が勃発しても停電

「五輪外交で欧米牽制」

本日の東京新聞朝刊記事より。
一昨日から北京五輪が開幕した。五輪はもちろんスポーツの祭典だが、それと並行して政治や経済の祭典も開催される。G7やG20加盟国ではない国の首脳も一堂に会するので、条約や貿易に関する交渉もエキサイトする。日本を含む英米に近い国は、新疆ウイグル自治区や香港、台湾での人権侵害を理由に「外交ボイコット」を展開しており、選手は参加しているが、政府関係者は一切参加してない。

日本の場合、中国を無視も出来ないので、室伏広治スポーツ庁長官の派遣は見送ったものの、日本オリンピック委員会の山下泰裕会長と、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を務めた橋本聖子参院議員の派遣を決めている。

閑話休題。
記事によると、中国・習近平国家主席は、カザフスタンやトルクメニスタン、エジプト、セルビアの大統領と膝を交えたとのこと。ミャンマーの軍事政権やアフガニスタンのタリバン政権の関係者こそ参加していないものの、中国と経済面だけでなく軍事面でも関係の深い国の名前が並ぶ。「一帯一路」経済圏構想が貿易・流通の加速化だけでなく、武器・弾薬と独裁政権のノウハウまでが世界中に広がっているような気がする。

「マックポテトL・M再開へ」

本日の東京新聞朝刊に、マックポテトのLサイズとMサイズの販売が再開されるとの記事が掲載されていた。これまでは、米国シアトルに隣接するカナダのバンクーバーから横浜港へ輸送されていた。米国のジャガイモの産地はシアトルのあるワシントン州とその南東に位置するアイダホ州が中心である。

記事によると北米東海岸から輸送する航路を用いようになったとのこと。つまり、中米のパナマ運河を経て太平洋を横断する航路である。ちょうど授業で扱っているところなので、補足説明のネタとして使ってみたい。

ちなみに、ジャガイモは気候や土壌に左右されにくいので、世界の生産量のベスト5は、以下のようにそのまま国土面積が広い国となっている。

順位 国名 生産量(2018年) 割合
1 位  中国 9,181万8,950トン  24.79 % 
2 位  インド 5,019万トン  13.55 % 
3 位  ロシア 2,207万4,874トン  5.96 % 
4 位  ウクライナ 2,026万9,190トン  5.47 % 
5 位  アメリカ 1,918万1,970トン  5.18 %

「北京五輪 平和の祭典か」

本日の東京新聞朝刊に、欧米諸国が「外交ボイコット」を表明している北京五輪での論争の

新疆ウイグル自治区での「ジェノサイド(民族大量虐殺)」の状況と、

北京五輪への参加が中国共産党政権に対する踏み絵となっている

「ロシアのウクライナ侵攻に備え」

本日の東京新聞朝刊記事より。
授業でも紹介しているが、連日のようにウクライナに関する報道が続いている。
今日の記事はEUの天然ガスの供給に関する話である。EUは石炭火力発電を廃止する一方で、ロシアからの天然ガスへの依存を高めている。ロシアから陸上や海底を通じて何本もパイプラインが建設されており、EU諸国の発電量のかなりの割合を占めている。

日本には海に囲まれているため、オーストラリアやマレーシアなどで産出された天然ガスを一度マイナス162度まで冷やして液化して輸入している。液化することで体積を600分の1まで小さくできるのだが、運搬・貯蔵コストがかかってしまう。

その点、バルト海経由でロシアとドイツを繋ぐノルド・ストリームや、ウクライナ経由でロシアと東欧をつなぐサウスパイプラインなどの天然ガスパイプラインは、気体のまま輸送できるので、一度建設すると運用コストは低く抑えられる。