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「英領北アイルランド議会選 シン・フェイン第1党へ」

本日の東京新聞朝刊記事より。
北アイルランド議会選挙で、アイルランドとの統一を目指すシン・フェイン党が第1党になったという記事が掲載されていた。私は高校・浪人時代は世界史選択であった。「怒った(1905年)我らのシン・フェイン党」という語呂合わせで、イングランドに抵抗するアイルランド政党の成立年号を口ずさんでいたことを今でも覚えている。

そのシン・フェイン党が北アイルランドで第1党になったということは、United Kingdomの解体が始まったということだ。EU離脱後の経済の混乱に加え、ジョンソン首相に対する批判が重なったようだ。

確認しておくと、私たち日本人がイギリスと呼んでいる国は、United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandといい、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国と訳される。グレート・ブリテン島(東側の島)にあり、ロンドンを含むイングランドと西側のウェールズ、北側のスコットランドの3つの国と、アイルランド島の北側の北アイルランドを合わせた4つの連合王国がいわゆるイギリスである。サッカーが好きな生徒は、ワールドカップにイギリスという国は存在せず、それぞれバラバラにトーナメントに出場するのは知っているであろうか。

1922年に北アイルランドを併合して以来、ちょうど100年目の今年、北アイルランドが独立、アイルランドとの統一を目指すという流れ興味深い。ブレグジット(EU離脱)に伴い、スコットランドも独立へと動いており、UK(連合王国)の動向について、授業の中でも触れておきたい。

『EU ロシア産石油禁輸へ』

本日の東京新聞朝刊に、欧州連合が軍事侵攻を続けるロシアへの経済措置として、ロシア産石油を年末までに段階的に原則輸入禁止とする制裁案を発表した。

このEUの石油禁輸措置を受けて、WTI原油先物市場の価格が急上昇している。(下段チャート)
原油を100%輸入に頼る日本にとって、原油価格の高騰は生活費に直結することである。ここ2ヶ月ほど、太平洋戦争中の「鬼畜米英」ならぬプーチン政権憎しのムードが高揚し、軍事予算が倍増し、物価が高騰しているにもかかわらず、日本はプーチン包囲網の反露協調路線を突き進むだけである。

また、ハンガリーとスロヴァキアの両国は、来年以降もロシア産石油の輸入を続けると報じられている。両国ともかつては社会主義国であり、旧ソ連と緊密な関係にあった。現在でもロシアからウクライナを経由して、原油を輸送するドルジバパイプラインが通っている。(下段地図)
両国とも内陸国であり、一人当たりのGNIは1万6,000ドル程度で、ロシア産以外の原油の供給は、技術的にも経済的にも対応は難しい。

授業でも触れたが、原油も天然ガスもトラックや列車で運ぶことができない。そのため、海に面した国は海沿いに石油精製工場を建設せざるを得ない。ちなみに、日本も同じで1960年代(昭和30年代前半)までは石炭で稼働する内陸の工場があったが、1970年代から海に面した太平洋ベルト地帯に工場が重化学工業の工場が集中することとなった。

EUがいくらロシア産石油の輸入禁止というポーズを見せたところで、プーチン政権を追い込むところまではいかないであろう。岸田政権もいたずらに反ロシアのムードに流されることなく、国民生活に直結する安定した資源の確保に努めるべきである。

「ロシア モルドバ侵攻示唆」

本日の東京新聞朝刊に、ロシアがウクライナの西側に位置するモルドバ侵攻の計画を持っているとの報道があった。モルドバといってもピンとこない生徒が大半であろう。ルーマニアの東側にある貧しい国である。一人あたりのGDPは4,523ドル(2020年:IMF)である。

ちなみに、ざっくり一人当たりのGDP(地理ではGNIも同じ)が10,000ドル以上の上流国が70カ国ほど、3,000ドル以上10,000ドル以下の中流国が70カ国ほど、3,000ドル以下が下国が60カ国ほどとなっている。下流国のうち10カ国ほどが1日2ドル以下の飢餓状態の最貧国となっている。モルドバ国の経済は中の下といったところか。

閑話休題。人口は246万人のうち大半がルーマニア系であるが、東部のドニエストル川流域はロシア系が多い。帝国書院の地図を確認してもらえれば一目瞭然だが、モルドバの東側にはロシア産の原油を輸送するパイプラインが設置されている。ロシア産の原油や天然ガスのパイプラインがあるところに、ロシアのスパイとロシア軍の活動ありとの法則に照らすと、モルドバ東部にロシア軍が展開することは明らかである。

 

「日向灘・南西諸島M8級の恐れ」

本日の東京新聞夕刊に、政府の地震調査委員会が南西諸島海溝と、鳥取-長崎沖の日本海南西部での巨大地震発生率を公表したとの記事が掲載されていた。

何度も紹介するが、日本を含む環太平洋造山帯は、太平洋プレートが東西南北に拡がり他のプレートと衝突する境界上に位置する。そうした狭まる境界では、海洋型の太平洋プレートが大陸型の北米プレートや南米プレート、ユーラシアプレート、インド・オーストラリアプレートの下に沈み込んでいく。特に日本は大陸型の北米プレートとユーラシアプレート、海洋型のフィリピン海プレートの3つが積み重なっているプレートの重層地域であり、地震の予想が極めて難しい。

記事では数千年というスケールで発生する巨大地震の可能性に言及しているが、原子力発電所から出される高レベル放射性廃棄物は、人体に影響がない放射線量のレベルに下がるのに10万年もかかるのである。数千年に1度の規模の地震ですら対策が立てられないのに、誰が10万年の安全を保証できるのか。来年度の授業でもこのスケール感を理解してもらえるような、わくわくする授業をおこなっていきたい。