地理」カテゴリーアーカイブ

「紅海に緑の防波堤を」

本日の東京新聞夕刊に、中東の紅海沿岸でマングローブ林の植樹が進んでいるとの記事が掲載されていた。マングローブは海水と淡水が入り混じる汽水域に生息するため、高潮被害や沿岸の侵食を防ぐ防波堤の役割を果たす。また、二酸化炭素を取り込む量が多いため、地球温暖化のブレーキ役も期待されている。また貝やエビなどの豊かな生態系を育むことでも知られている。

また熱帯や亜熱帯を好むので、日本では沖縄県と鹿児島県の島嶼地域だけに生息する。修学旅行の引率でマングローブ林を散策したことがあるが、陸地をガッチリと守ってくれるような頼もしさすら感じたことを記憶している。

「アフリカへ官民4兆円」

本日の東京新聞朝刊に、第8回「アフリカ開発会議」で、岸田総理が30万人の人材育成や感染症対策、食料支援などの分野で総額300億ドル(約4兆1千億円)の支援を表明したとの記事が掲載されていた。

人口爆発が続くアフリカに対し、継続的な支援や難民支援策を打ち出すという方向性は素晴らしい。ただし、一過性の食料支援などは、今般のウクライナ情勢下では致し方ないが、アフリカ諸国が自律的・持続的に発展できる支援のあり方を検討したい。こうした場面こそ、SDGsに基づいた支援のあり方が問われる。
また、アフリカは北部や東部を除いて、ほとんど地震がない安定陸塊となっている。脱炭素という名目で原発輸出に突っ走ることがないようにしてほしい。

また、難民支援策では、まず日本が移民政策を本格的に検討していくべき時期にきている。突然数万人も受け入れることはできない。徐々に現行の入管政策を改め、多様性を受け入れる日本社会を築いていく必要がある。

別項の記事で、国連開発会議のアフナ・エザコンワ局長は、食糧生産を増やすための、貯水施設や灌漑施設の整備が必要だと訴えている。一過的な食糧支援ではなく、継続的な農業技術支援を、一時的な医療支援ではなく、恒常的な安全な水の確保が求められている。

「上下1万円きる軽やかスーツ」

本日の東京新聞朝刊に、洋服の青山で上下1万円を切るスーツが発売されたとの記事が掲載されていた。私も早速ホームページを見て品質の良さにびっくりしたところだ。

円安が続く中で、どうして大手企業でこれほど安いスーツが販売できるのかと、不思議に思った。そこで、更にネットで調べてみたところ、青山商事ではこの数年人件費が上がってきた上海の工場から、インドネシアの中部ジャワ州に生産シフトを移しているとのこと。

中国の一人当たりのGDPは約14,096ドル(2021年)、インドネシアの一人当りGDPは4,349ドルとなっている。単純に考えると、ドルベースで同じ給料を支払うならば、インドネシア工場の労働者の賃金は上海に比べて3分の1となる。

また、ここからは憶測だが、記事にあるゼロプレッシャースーツは伸縮性の高い素材を利用しているとのこと。つまり綿ではなく石油や天然ガスから作られるポリエステルであろうと推測できる。インドネシアやマレーシアは天然ガスに恵まれ、両国とも生産量で世界で10数番目となっている。

インドネシアでは天然ガスをそのまま輸出するよりも、国内の重化学工業を発展させ、天然ガスを工業製品に加工して輸出する方向を目指している。地理用語で言うならば、一次産品から二次産品に加工して輸出することで、国内経済を発展させようということである。国連貿易開発会議(UNCTAD)の調べでは、発展途上国の3分の2で1次産品の輸出の割合が6割を超える「依存国」となっている。

「穀物船第1便立ち往生」

本日の東京新聞朝刊に、ウクライナ産のとうもろこしを積んだ貨物船が、品質を理由にレバノンの業者に買取を拒否され、海上を彷徨っているとの記事が掲載されていた。

注目してほしいのが、貨物船がシエラレオネ「船籍」ということだ。実は船にも人の国籍と同じように「船籍」というものがある。しかし、シエラレオネは西アフリカに位置し、ウクライナやレバノンから遠く離れている。

こうした船主が船籍を「便宜」的に外国に置いた船舶を便宜置籍船とよぶ。貨物船やタンカーなど巨大な船になると登録料や税金が大きくなり、登録手続きや安全に関する規制などが厳しくなる。こうした負担を逃れるために、世界中の船舶業者が書類上だけ他国に登録するのが通例となっている。一方、置籍船の多い国にしてみれば、貴重な外貨収入源となり、お互いにウィン・ウィンの関係と言える。

船籍のランキングは以下の通りである。日本も10位にランクしているが、実は日本の商船の6割がパナマ船籍となっている。シエラレオネ船籍は第53位となっている。乗組員の大半がウクライナ語もアラビア語も理解しておらず、レバノンの商社と船舶業者との連絡が上手くいかなかった点が背景として指摘されるのであろう。

一般社団法人日本船主協会のホームページ資料より

一般社団法人日本船主協会のホームページ資料より

Twitter投稿より。
マクドナルドの店舗数は、2022年7月現在、国内2,957を数える。
人の歩く速度が平均4km/hと言われているので、半径2kmというと徒歩30分の距離である。
地理探求の内容となるが、食事や日常品の購入などの「最寄品商圏(一次商圏)」とに