地理」カテゴリーアーカイブ

「党による統制 一層強化」

本日の東京新聞朝刊に、中国の全国人民代表者大会(全人代)の模様が報じられていた。

全人代は1年に1度、10日間ほど開催され、国家主席などの国家の中枢や、首相・外相といった内閣、国の方向性などを決定する中国の最高議決機関とされている。ただし、中国は共産党しか認められていないため、実質は与党の共産党だけで運営される国会である。実態は5年に1度開催される中国共産党大会で決定したことの追認機関にすぎない。

ただし、一応は人民代表者が一堂に会した会議なので、共産党大会よりも明確な方針が提示される。共産主義は「資本や財産をみんなで共有する平等な社会体制」で「生産力が高度に発達して、各人は能力に応じて働き、必要に応じて分配を受けることができる人類史の発展の最終段階」である。その共産国家で管理が強まるというのは、100年前から繰り返されてきた、20世紀最大の疑問である。

ホップテロアール

今日はチェコ北西部のジャテツで生産されたホップを利用したビールを飲んでみた。
キリンホールディングの調べによると、チェコはなんと1人あたりのビールの消費量が30年連続世界一となっている。2位のオーストリアの2倍弱であり、日本の5倍以上となっている。

では、なぜチェコなのだろうか。チェコはケッペンの気候区分でいうとDf(亜寒帯湿潤気候)である。ビールに用いられる麦芽は大麦から作られる。麦茶のパックに入っているのも大麦である。そして大麦の生産量第1位はロシア、第2位がドイツとなっており、ちょうどチェコは両国の間に位置する。またチェコは北海道と同じくらいの気温なので、ビールの原料であるホップの生産にちょうど適した気候となっている。

こうした要因からチェコに限らず、ドイツとロシアに挟まれたオーストリアやリトアニア、ルーマニア、ポーランド、エストニアなどがランキング上位に顔を出していると考えられる。

決して高校生にビールを勧めるわけではありません。「飲酒は20歳になってから」です。

「『日本のカッパドキア』吉見百穴が人気」

本日の東京新聞朝刊に埼玉県吉見町横穴墳群「吉見百穴」が人気を回復しているとの記事が掲載されていた。吉見町では世界遺産にも認定されているトルコの奇岩「カッパドキア」に準えて宣伝に力を入れている。カッパドキアはトルコ中部のアナトリア高原にあり、ローマ時代には地下に教会や都市が作られている。

地理的に解説すると吉見町もカッパドキアも凝灰岩なので、柔らかく加工しやすいという特徴を持つ。関東地方は関東ローム層と呼ばれる凝灰岩の地層に覆われている。この300万年の間に富士山や箱根山、浅間山、榛名山、赤城山、男体山などが噴火した際の灰が積もって固まった地層である。また、トルコ国土の大半を占めるアナトリア高原も日本と同じ新期造山帯に属し、火山活動や地震活動が盛んなことで知られる。安定陸塊では見られない光景である。

「食リサイクル100%に挑む」

本日の東京新聞朝刊に、トヨタ紡績でフードロスをなくすため、社員食堂の残飯を微生物で分解させ、発生したガスで発電、さらに、窒素やリンなど農業に必要な成分を含む微生物の消化液を、肥料として近隣農家に提供するプロジェクトが始まったとの記事が掲載されていた。

江戸時代の徹底したリサイクルの現代版という内容である。フードロスは地理の授業でも重要なテーマである。以下は、消費者庁のホームページから転載した内容である。日本の年間のフードロスが、世界の食糧支援量を超えているという事実にしっかりと向き合いたい。

食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。

日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は522万トン(2020)。

これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2020年で年間約420万トン)の1.2倍に相当します。

また、食品ロスを国民一人当たりに換算すると”お茶碗約1杯分(約113g)の食べもの”が毎日捨てられていることになるのです。「もったいない」と思いませんか?

大切な資源の有効活用や環境負荷への配慮から、食品ロスを減らすことが必要です。