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大学案内研究:共愛学園前橋国際大学

共愛学園前橋国際大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
1888年に設立された前橋英和女学校、1945年に開設された共愛学園中学・高等学校が母体となり、1999年4月に開学した新しい大学である。特待生制度や奨学金制度が、これでもかというほど充実している。特待制度では、入学前に英検2級などをとれば、初年度の授業料が全額免除となる資格特待生や入試特待生、小・中学校教職特待生などがある。スポーツ特待生では、水泳、バドミントンに加え、極真空手道が対象となっている。また、入学してからも学業奨励奨学金、コース学業奨励奨学金、共愛ワークスタディ奨学金に加え、時給宇1000円の学内アルバイトのようなキャンパス・インターンシップ、学生プロジェクト支援制度などが設けられている。

国際社会学部国際社会学科のみの単科大学である。英語、国際、情報・経営、心理・人間文化、児童教育の5つのコースが設けられている。児童教育以外のコースは入学後の選択となっている。少人数の利点を生かし、外国語科目、共愛コア(教養)科目、自由選択科目など50単位以上を共通履修とし、コースを問わず「共愛=共生の理念」「グローバル社会に生きるための、グローカルリーダーの素養」の育成を目指している。またネイティブ講師との1対1での英語学修や、社会人と一緒に全て英語で学ぶ授業、さらにアクティブ・ラーニングを全面的に取り入れ、少人数のメリットを最大限に生かしたグローバルキャリアトレーニング科目が副専攻として置かれている。秋田公立の国際教養大学とまではいかないが、そうした英語をベースにした教養教育に特化するという方向性は応援したい。

群馬県にある新設大学ということで、偏見の目で見ていたが、パンフレットを読めば読むほど、大学の確固たる姿勢が伝わってくる内容であった。
受験生は大学の場所や校舎、偏差値だけでなく、カリキュラムの中身で判断してほしいと思う。

パンフレット研究:東京未来大学

東京未来大学の大学案内(2014年度版)を読む。
全国で専門学校を経営する学校法人三幸学園が2007年に、足立区堀切の廃校となった中学校跡地を活用して開学した新しい大学である。当初は、こども心理専攻とこども保育・教育専攻からなるこども心理学部だけでの出発であったが、2012年に経営学と教育学、心理・コミュニケーションを幅広く学ぶモチベーション行動科学部が新設されている。
パンフレット全体が何を学ぶということよりも、どんな資格を取ってどういう職につけるか、ついたかという紹介がベースとなっている。1年次よりキャリアガイダンスやインターンシップが始まり、また、入学から卒業まで担任とは別に、キャンパスアドバイザーが付き、とにかく就職への面倒見は良い。小学校や幼稚園、保育士の免許が取れないこども心理専攻でもしっかりと就職を実現している。一方、カリキュラムの方は専門学校のような内容で、一般教養科目はおそらく大学設置基準をギリギリ上回る程度の科目しか用意されていない。また専門科目もあまり選択の余地はなく、教員の「無駄」のない「効率的」なカリキュラムとなっている。
モチベーション行動科学部は2012年度入試で定員100名のところ入学者20名という厳しいスタートとなった。2013年度入試では54名が入学しているので、人気は上昇中なのだろうか。学部設立と同時に、「一般社団法人モチベーション・マネージメント協会」なる団体を設立、東京未来大学の学生に「公認モチベーション・マネージャー」の資格を認定する仕組みをとっている。

東京未来大学よりも、東京未来大学を経営する三幸学園の方に関心を持った。沿革を見ると、設立されたのが1985年と新しいのだが、翌年からほぼ毎年全国各地に専門学校をオープンさせている。その勢いが半端でない。1986年に東京医療秘書専門学校を開校したら、毎年のように校舎を開設し、1992年に大阪リゾート&スポーツ専門学校を開校するや否や、全国9校展開させている。他にもビューティーアート専門学校が11校、こども専門学校が10校、ブライダル専門学校が5校、スイーツ&カフェ専門学校が5校、全国10地域にキャンパスを置く通信制高校まで運営している。
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パンフレット研究:宇都宮共和大学

宇都宮共和大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
音楽科を有する宇都宮短期大学と進学校として知られる宇都宮短期大学付属高等学校・中学校を運営する学校法人が、何を間違えたか1999年に那須塩原駅から6キロも離れたど田舎に大学を設置したことから大学の悲劇の歴史が始まる。作られた那須大学都市経済学部であるば、開学当初から全く学生が集まらず、場所が悪いと判断したのか、2006年に名称を変更し、宇都宮駅近くにキャンパスを移し、シティライフ学部として再出発している。しかし、これまた設置当初から見向きもされず、2013年度の入学生は定員100名に対し33名という始末である。そこで、理事会も策を練ったのであろうか、比較的上手くいっていた短期大学幼児幼児福祉専攻を、2011年より4年制の子ども生活学部に格上げしている。しかし取れる資格は同じで、2年制のカリキュラムをただ伸ばしただけの中身の薄い内容となっている。これまた受験生から敬遠され、収容定員300名に対し148名しか在籍してない。音楽科と人間福祉科を有する短期大学の方も大きく定員割れを起こしている。収支計算署を見ると、法人全体であるが、2011年度に5億6千万、2012年度は12億1千万の資産売却を行っている。付属の高校に2300名を越える生徒がいるので、法人全体で何とか維持しているのであろうが、大学単体の経営判断が鈍るのではないだろうか。東京大学経済学部を卒業し日本興業銀行に長く勤務していた現学長の舵取りに任せられるのだろう。
いずれにせよ、大規模な私立高校を経営する法人が安易に大学を作った失敗例として参考になるところは多いであろう。

パンフレットのシティライフ学部のページをじっくりと読んだのだが、いったい何を学ぶ学部なのか、読めば読むほど分からなくなる。在籍する学生が少ないので、当該の学生の実態に合わせて大学の方向を柔軟に変えているのであろう。経済学をベースに宇都宮という町のフィールドワークを重視しているのだが、専門科目と基礎科目の違いも明確でなく、体系化された学びの方向もない。キャリア支援も就職状況も明確に示されない。ただあるのは入学金免除や授業料減免、各種資格試験の受験料を支援などお金の話だけである。果たして今年度入学生33名のうち、日本人はどれくらいの割合いるのであろうか。およそ日本人向けの内容とは思えない。
「共和大はやりたいことになんでも取り組める環境」という言葉がこの大学をよく表している。33名しかいない入学生に対して、中高社会公民の教職課程を揃え、資格取得講座さえ設けている。

子ども生活学部の方はさすがにカリキュラムも体系だっているが、2年制短大のカリキュラムとほとんど代わり映えしない。第2外国語もあるのだが、1年間だけしか開講されていない。開学して3年目なので、まだ卒業生はいないが、短期大学時代のの就職率(平成23年度98%)を維持するのは難しいであろう。

8月1日から3月中旬まで延々とAO入試を行い、ほぼ全入の入試を繰り返すのは教職員にとっても面倒のことであろう。こういう大学を見るにつけ、安易に大学を増やし続けた文科省の責任問題とならないのであろうか。こんな大学に法人全体で6億円を越える税金が投入されているのである。マスコミで叩かれるのも時間の問題であろう。

パンフレット研究:敬愛大学

敬愛大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
1966年に千葉県稲毛市に開学した千葉敬愛経済大学を出発点とする。高校卒業者の減少が著しくなり始めた1997年に佐倉市に国際学部国際協力学科を設置し、2007年には、国際学科地域こども教育専攻を設置している。2013年現在では、両学部が稲毛に集約され、経済学科と経営学科からなる経済学部と、国際学科とこども学科からなる国際学部の2学部構成となっている。経営学、英語に加え、小学校教員養成という新興住宅地大学の典型的な展開パターンである。
国道16号沿いのいわゆる郊外の新設大学の例に漏れず、カリキュラム表は掲載されず、学ぶことに対するイメージと就職サポートがパンフレットの中心となっている。「チバイチバン」プロジェクトと名付けられたキャリア教育がページを割いて紹介され、2012年度就職内定率は91%、地元千葉県内就職率58%である。成田空港での研修も実施され、空港関連企業に就職する学生も多い。また、就職が比較的いいためか、2013年現在、定員充足率は両学部とも9割を近くとなっている。
国際学部国際学科では短期から長期にわたる豊富な海外研修プログラムが用意されている。特にフィリピン大学へのインターンシップ留学プログラムが興味深い。

パンフレット研究:横浜商科大学

横浜商科大学のパンフレット(2014年度版)を読む。
パンフレット冒頭の大学の紹介の宣伝文句がそのまま大学の姿を伝えている。

本学には、巨大な貿易港であると同時に国際的な観光都市でもある「横浜」というロケーションを活かした「商学科」「貿易・観光学科」「経営情報学科」の3学科を設置しています。マーケティングや流通、会計などの基本をしっかりおさえ、貿易、観光やIT関連など高度な専門性を修得できるカリキュラムで構成されています。民間企業や研究所出身の教員を多数登用し、現場感覚を重視した実践的プログラムが充実しています。

ほぼ全入状態のFランクに位置する大学であるが、ゼミでの丁寧な動機漬けや資格取得支援、教室を越えた「まちなかキャンパス」での学びなど、入学してくる学生のレベルに合わせつつも伸ばしていこうとする大学の姿勢がよく伝わってきた。

1941年横浜市鶴見区に設立された横浜第一商業学校(現:横浜商科大学高等学校)を母体とし、1968年に2年前に開学した横浜商科短期大学を改組して、貿易、経営、会計情報、商学の4コースを設けた4年制大学が開学している。そして、6年後の1974年に商学科、貿易・観光学科、経営情報学科の3学科制に移行してから、これまで40年間一度も新しい学科やコースを設置していない。いたずらに大学院を設置したり、学部を増やしたりして教育の方向性を見失う大学が多い中、「商学教育の完成」という教育目的を貫く大学の姿勢は評価できる。

ゼミナールを売りとしており、学科紹介の最初のページが全てゼミで費やされている。教員の紹介、学びの中身、学生の姿の3つがよく分かる内容となっている。カリキュラム表もきちんと体系的に整えられて掲載されている。基礎教育も充実しており、中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語は全て3年次後半までの科目が設けられ、商学を支える科目も幅広く用意されている。また企業のように資格取得奨励金制度があり、大学指定の資格を取得したら5万円から10万円の給付が受けられる。おそらくは通信制高校や進路多様校の卒業生が受験勉強をせずに入ってきているのであろうが、大学の学びのシステムがきちんとしているので、きちんと学べばきちんと伸びていく大学である。

唯一の難点は、就職状況について全く触れられていないことである。「即戦力となる人材の輩出」を打ち出すからには、詳細な就職状況をパンフレットに明示して受験生や保護者の審判を仰ぐべきであろう。学生募集には苦労しているが、地元への就職実績を上げていけば、遠からず受験生は集まってくるはずである。