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『進撃の巨人』

singeki

諌山創『進撃の巨人』(講談社コミックス 2010)の第1巻から6巻まで読んだ。
絵や話の展開は少し雑(若者向き)であったが、テンポ良く話が進んでいき、一気に6冊読破した。
50メートル級の正体不明の巨人が突如出現し、巨人の侵入を防ぐ壁の内側で、恐怖と不安に戦く残存する人類の姿が描かれる。
正体不明の人類共通の敵が出現したにも関わらず、相も変わらず沽券を振りかざし、団結とすべき時に分断を持ち込む人間の姿が印象的であった。

巨人と一戦交える軍隊を志望したにも関わらず、戦闘の現場から離れた宮廷の側近警備に就くために訓練に励む仲間との

『素晴らしい世界』

浅野いにお『素晴らしい世界』(小学館サンデーGXコミックス 2004)全2巻を読む。
東京都区内の小田急線沿いの町を舞台に、生きる意味や目的を見失いがちな若者たちの姿をリアルに描く。
クラスから浮いてしまっている中学生や、周りがどんどん就職していく中でダラダラと日常を送るフリーター、いつまでも芽が出ない売れない漫画家、将来に明るい希望も見出せず勉強も捗らない浪人生など、社会への違和感や自身の存在への不安を抱える若者の群像劇となっている。
先日読んだ「ひかりのまち」とよく似ているのだが、こちらの方は最後は生きる熱意や生きることへの肯定的な結末で締めくくられており、読後感が大変良かった。アマゾンのレビューを見ると賛否両論あるようだが、タイトル通りの素晴らしい作品だった。
かつて自分が浪人生の頃に感じていた「置いていかれる」「進んでいかない」という、胸につっかえるような、将来の全てを司るような真っ黒い不安を思い出しながらページを繰っていった。出来得ることならば、20数年前の自分に渡したい一冊である。

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『世界の終わりと夜明け前』

浅野いにお『世界の終わりと夜明け前』(ビッグスピリッツコミックススペシャル 2008)を読む。
東京を舞台に、何かに自信を失っている、そして何かを信じている若者の姿を群像劇で描く。若者の孤独や閉塞に焦点を当てるが、そこに根拠のない希望がほのかに感じられる。カッコ良い言い方をすれば、「大きな物語」が信じられなくなり、愛や友情、自分の将来、自分の可能性、自分の力量といったあやふやなものしか信じられなくなってしまった「ポストモダン」な状況が描かれる。
おっさんになり、守るべき子どもができて、ローンに追われるマイホームがある自分が読んでもあまり共感しにくい世界であった。十九歳、二十歳、二十代前半の青年時代に読めば、もっと印象は変わってであろう。

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『ひかりのまち』

浅野いにお『ひかりのまち』(小学館サンデーGXコミックス 2005)を読む。
郊外の大型高級マンションのある「ひかりのまち」を舞台にした人生模様の群像劇である。徒歩圏内にデパート、公園、病院まですべて揃って、都心へも電車で1時間弱という、どこにでもありそうな均質な土地なのに、生死の数の分だけいじいじとした、アナログな、進化のない人間ドラマが繰り返される。その風景とドラマの対比が印象的である。
手塚治虫の『火の鳥』を彷彿させるところもあり、印象に残る作品であった。

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