漫画」カテゴリーアーカイブ

『奇子』

手塚治虫『奇子』(角川書店 1989)を読む。
勉強の合間に手に取ってみた。国鉄三大ミステリー事件以降の戦後日本社会の闇と、20年以上地下の座敷に監禁されていた主人公奇子の人生の2つの闇が交錯する「暗黒」漫画である。横溝正史の世界を彷彿とさせる。

『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)』

竜田一人『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記1』(講談社 2014)を読む。
タイトルにある通り、1F(福島第一原子力発電所)で働く労働者の生活が描かれる。
原発・反原発といった政治的な見解は避け、放射能汚染の現場で働く男たちのありのままの生活が綴られる。漫画なので現地の様子が手に取るように分かりやすく表現されており、イメージ作りに役立った。

『義風堂々!! 直江兼続』

原哲夫・堀江信彦原作、武村勇治作画『義風堂々!! 直江兼続:前田慶次 月語り』(新潮社 2010)全9巻を読む。
実は上杉謙信の隠し子であったという大胆な仮説のもと、上杉謙信、上杉景勝父子に仕え、漢として義に生きた直江兼続の半生を描く。
漫画を読み慣れていないので、結構な時間がかかったが、上杉と北条の同盟や、謙信亡き後の御館の景勝と景虎の間で起こった御館の乱、信長や秀吉の人物像など大いに参考になった。

『その時歴史が動いた』

NHK取材班・編『NHKその時歴史が動いたコミック版』(オーム社漫画文庫 2004)の『宿命のライバル編』と『策士・軍師編』を読む。
『宿命〜』の方は、宮本武蔵と佐々木小次郎、武田信玄と上杉謙信、秀吉と家康、頼朝と義経、淀殿とお初、信長と光秀の6つのエピソードが、『策士〜』の方は、織田信長、黒田官兵衛、源義経、真田幸村、高杉晋作、坂本龍馬の6人のエピソードが収録されている。
漫画で分かりやすく人物が紹介されているのだが、どうにも頭に定着しなかった感がある。漫画に慣れ親しんで来なかったので、さらさら読むことができるのだが、読み終わったらすっぽりと印象が抜けてしまう。漫画よりも小説で勉強した方が良さそうだ。

『玄奘西域記』

諏訪緑『玄奘西域記』(小学館文庫 2000)の第1巻を読む。
唐代初期にシルクロードを経由してインドに向かい,仏教の教典を持ち帰って翻訳作業に従事し,『大唐西域記』を著した玄奘三蔵の活躍を脚色たっぷりに描く。
漫画ではあるが,歴史考証もしっかりとしており,なるほどと思うところが多々あった。唐代初期ということで中央アジアを支配していた突厥と唐の対立が背景として描かれる。その中で,羊の生育を計りながら遊牧民の生活と畑作を営む定住民の終わりなき対決の構造が説明されていた。また,玄奘が旅した630年はゾロアスター教の終焉の年にあたっており,ゾロアスター教が新興のイスラム教にとってかわられていくというのは興味深かった。いったいどういう理由があるのだろうか。