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『その時歴史が動いた』

NHK取材班・編『NHKその時歴史が動いたコミック版』(オーム社漫画文庫 2004)の『宿命のライバル編』と『策士・軍師編』を読む。
『宿命〜』の方は、宮本武蔵と佐々木小次郎、武田信玄と上杉謙信、秀吉と家康、頼朝と義経、淀殿とお初、信長と光秀の6つのエピソードが、『策士〜』の方は、織田信長、黒田官兵衛、源義経、真田幸村、高杉晋作、坂本龍馬の6人のエピソードが収録されている。
漫画で分かりやすく人物が紹介されているのだが、どうにも頭に定着しなかった感がある。漫画に慣れ親しんで来なかったので、さらさら読むことができるのだが、読み終わったらすっぽりと印象が抜けてしまう。漫画よりも小説で勉強した方が良さそうだ。

『玄奘西域記』

諏訪緑『玄奘西域記』(小学館文庫 2000)の第1巻を読む。
唐代初期にシルクロードを経由してインドに向かい,仏教の教典を持ち帰って翻訳作業に従事し,『大唐西域記』を著した玄奘三蔵の活躍を脚色たっぷりに描く。
漫画ではあるが,歴史考証もしっかりとしており,なるほどと思うところが多々あった。唐代初期ということで中央アジアを支配していた突厥と唐の対立が背景として描かれる。その中で,羊の生育を計りながら遊牧民の生活と畑作を営む定住民の終わりなき対決の構造が説明されていた。また,玄奘が旅した630年はゾロアスター教の終焉の年にあたっており,ゾロアスター教が新興のイスラム教にとってかわられていくというのは興味深かった。いったいどういう理由があるのだろうか。

『鉄コン筋クリート』

松本大洋『鉄コン筋クリート』(小学館 1994)全3巻を一気に読む。
最初は空を跳んだり他の町から流れ着いた敵をやっつけたりと、まさにマンガ的な展開をするのでギャグ漫画かと思っていたのだが、段々と話はシリアスになっていき、最後は話のスケールがぐんと大きくなって元に鞘に戻っていく。
天童荒太の『永遠の仔』のような哀しい味のする作品であった。

『ヘルタースケルター』

岡崎京子『ヘルタースケルター』(祥伝社 2003)を読む。
全身の全てを整形することで全く新しい人生を手に入れた女性モデルりりこの活躍を描く。物語の始まりから悲劇の結末を予感させており、漫画を読み慣れないながらも一気に読んでしまった。キレイに可愛く変身したいという飽くなき女性の願望の危うさがうまく表現されていた。

『攻殻機動隊』

士郎正宗原作・押井守監督『攻殻機動隊:GHOST IN THE SHELL』(講談社 1995)を読む。
1995年に公開された押井守監督の同名映画のアニメコミックである。劇場で上映に使用しているものと同じ35ミリフィルムを素材として使用し、全シーン、全カット、全セリフの収録・構成を心がけたオールカラーの漫画となっている。
「自分が疑いようもない自分である」というアイデンティティは自分ならしめてきた各人の「記憶」に根ざすものであるが、その記憶が外部に記憶され別の肉体で再活用されたり、他者により改変を加えられたりして、自分が本当に自分であるという確証が持てない近未来の恐怖を描く。
かなり複雑な世界観を持った作品であり、10数年前だったが、この次回作の映画を観たのだが訳が分からず仕舞いだったのも頷ける。