中央構造線を巡る (2/5)

中央構造線を巡る 秩父~下仁田~大鹿村 (2/3)

ここからがオリエンテーリング状態であった。全くの田舎に突然、最近になってあらたに案内看板だけが新設されただけなので、地図にも全く載っておらず、見つけるだけで精一杯であった。しかし、終わってみると良い思い出となった。

 

 
川井の断層
左右で地層が全く異なる中央構造線が地表に露呈した場所で、関東地方で最もよく観察できる場所である。
三重県に特別警報が発令された大型の台風11号の影響のためか、道もぐちゃぐちゃで、久しぶりにズポッと足が取られる感覚を味わった。近づくための手すりもなく、1メートルほどの岩を昇ってようやく到達することできた。
帰りに足元が滑って手をついたところ、手の掌を少し切るアクシデントもあった。

 


大桑原の褶曲
これまた地図にも載っておらず、自然史館で貰ったパンフレットにも詳細なポイントは明記されておらず、「発見」するのに大変苦労した。周囲を車で何度もグルグル回った挙げ句、普通の民家の裏手に隠されているかのごとく案内版がある。見つけたときは本当に文字通り「小躍り」してしまった。
くりっぺを構成する地層が、移動時の運動によってV字型に大きく折れ曲がった様子が確認できる。

 

 
宮室の逆転層
これも工事で車の通行ができない橋を越えると突然案内が表れる。この地点は駐車場も用意されているのだが、そこからの誘導掲示が全くないので、たどりつけない人が続出するであろう。
クリッペj形成時の大きな大地の力によって地層が逆転し、上下さかさまになっている様子が見られる。

 
すでに日も傾きかけていたが、世界遺産に登録されたばかりの荒船風穴を目指した。途中、看板を見落としてしまい、裏道の神津牧場から延々と山道を走ることになった。ここでも観客は一人。遺産一人。

 

 

 
荒船2号風穴の様子。
荒船風穴とは、1905年(明治38年)から39年(昭和4年)まで下仁田南野牧にあった蚕種の貯蔵施設のことである。荒船山の北麓、標高900m近い場所にあり、夏でも岩の隙間から2、3度の冷風が吹き出す「天然の冷蔵庫」を活用し、繭の生産増に大きく貢献した。

 


一番奥にある1号風穴の様子。温度計が設置されており、3、4度しかなく、不思議な感覚であった。

 


入り口付近のバスの折り返し場に冷風体験のコーナーがあった。本当にクーラーのように冷風が吹き出しているのが体験できる。気圧差によるものであろうが、山の持つ自然の力をたっぷりと実感した。


□中央構造線を巡る 長瀞〜下仁田〜大鹿村 (1/3)
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