文春ネスコ編『教科書でおぼえた名詩』(文春ネスコ 1997)をぱらぱら読む。
長田弘氏の『世界は一冊の本』という詩を読みたくて手に取ってみた。タイトルにある通り、昭和20年代から平成8年までの中学・高校の国語の教科書から、誰でも一度は耳にしたことのあるなつかしの詩歌が百数十編収録されている。
その中で、北原白秋の『頑是ない歌』の一節が印象に残った。心を込めてキーボードで活字を拾ってみたい。大学を卒業して十数年になるが、前へ前へと進み、仕事と家族を持ち、地盤を築いてきた自分自身の境遇を、もう一人の自分が労いと諦めの入り交じった視線で眺めている。感想になっていないが、なんかそんな感じがする。(ちょっと眠いか)
今では女房子供持ち
思へば遠く来たもんだ
此の先まだまだ何時までか
生きてゆくのであらうけど生きてゆくのであらうけど
遠く経て来た日や夜の
あんまりこんなにこひしゆては
なんだか自信が持てないよ。さりとて生きてゆく限り
結局我ン張る僕の性質
と思へばなんだか我ながら
いたはしいよなものですよ考へてみればそれはまあ
結局我ン張るのだとして
昔恋しい時もあり そして
どうにかやつてはゆくのでせう考へてみれば簡単だ
畢竟意志の問題だ
なんとかやるより仕方もない
やりさへすればよいのだと