『ネットウォーズ』

浜田和幸『ネットウォーズ;世界情報戦争の読み方』(PHP新書 2000)を読む。
少し古い作品であるが、インターネットにまつわる「情報戦争」の実態が少し整理できた。
近年、シティバンクやアメックス、GEなど日本人にとって馴染み深いようで、得体の知れない金融機関の名前を聞く機会が増えてきた。金融再編を論じる際、常にアメリカの情報機関の動きと考えあわせていくことの必要性を感じた。

しかし作者浜田氏は少々勘ぐり深いところがある。作者は1988年のリクルート事件はCIAが裏で演出していたと述べる。リクルート事件とは当時リクルート会長だった江副浩正とNTT会長の真藤恒が組んで先見的なネットビジネスを始めようとした際に発覚した未公開株にまつわるスキャンダルである。しかしこの裏にはこの動きに危機感を抱いたアメリカ諜報機関が、江副氏の行動を洗い出し、日本の闇の組織を巧みに使って、その関係を公に出したというのだ。その中心人物は「あらゆる手段を講じて日本の金融情報産業がこれ以上台頭することを防ぐ必要があった」と話したという。そしてこれ以降日本の情報通信革命のテンポが落ち、アメリカの情報技術産業が花開いたと結論付ける。「権力謀略論」的流れが気になるが、あり得ない話ではないだろう。

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