大原健士郎『「職員室」の心の病』(講談社 1997)を読む。
学校の先生に多い神経症やうつ病の治療を通して、浜松医科大の精神科医の著者が、「先生」と呼ばれる職業に共通するストレスや不安、強迫観念を主観交えて分析する。
とかく先生なるものはストレスが多いという話はよく耳にするところであるが、神経症や心身症といった非精神病だけでなく、統合失調症やアルコール依存症といった実際的な病気になってしまうものも多いということだ。これまで学校や教室は保護者や同僚から良くも悪くも閉ざされてきた。教員は他と比べられることなく、自由に授業のペースを作り、生徒と関係を築いてきた。しかしそうした閉鎖的な空間が「学級崩壊」の原因であり、「学級王国」という弊害が指摘されるようになり、公立の小中学校を中心に「開かれた学校」へと転換しつつある。学外評議員なども学校や教室を取り囲む壁を破る目的で設置されている。しかし、そうしたオープンな授業参観や地域連携教育といった「開かれた学校」制度が、逆に、「ミスがあってはいけない」と生真面目な性格の持ち主が多い教員のストレスを増大させているという側面もあるだろう。
『「職員室」の心の病』
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