堺屋太一『日本を創った12人』(PHP新書 前編1996、後編1997)を読む。
現在の日本社会につながる日本人観を形成したとされる12人を取り上げながら、現在の官僚がはびこる社会体質に堺屋氏お得意の批判を加えている。堺屋氏が取り上げた人物は、聖徳太子、光源氏、源頼朝、織田信長、石田三成、徳川家康、石田梅岩、大久保利通、渋沢栄一、マッカーサー、池田勇人、松下幸之助の12人であるが、この中で松下幸之助だけが場違いなおもむきだが、まあPHP新書ゆえに仕方ないところであろう。それにしても源頼朝が大臣よりも事務次官が権力を握る現在の官僚制度の「二重権限構造」を創ったという指摘や、日本人の国際感覚の欠如は徳川家康の個性に帰着するものだとする発想はあまりにぶっ飛んでいて逆に爽快感すら感じる。歴史学的な裏付けはほとんどないが、人物像が浮かび上がるように書かれており歴史小説として読むと大変興味深い。
『日本を創った12人』
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