本日の東京新聞の朝刊に反骨のジャーナリストむのたけじさんと作家で元新右翼メンバーの肩書きを持つ雨宮処凛さんの戦争の反省についての対談が特集されていた。雨宮さんは自身の右翼活動や自傷行為を引き合いにして現代の愛国心について次のように語る。昨今の愛国ブームを分かりやすく分析している。
戦時中の愛国って、家族とか古里の果てに国家があったと思うんですけど、今の若者の愛国は違う。家族にも、古里にも、学校にも、会社にも身の置き所がないから、愛国に行くという構図があるんじゃないかと思うんです。私もそうでした。本当に愛せるものがないから、自分を肯定するために、愛国にすがりたいという切実な思いがあったと思うんです。
そうしたフワフワした不安に臆病になっている日本人が知らず知らず残虐な戦争へと流れていってしまった事実を踏まえ、ものたけじさんは次のように語る。少々長いが引用してみたい。結局戦争は軍部が始めるものであり、そうした軍部の暴走に流されないだけの自分を築き、時代の危険な流れを素早く予期し、緻密に分析し、そして大胆に行動することが大切だと述べる。
結論は一人一人が自分を大事にすることです。人間は一人ずつ生まれてきますから。一人一人が自分の歴史をつくっていくことだ。自分の問題は自分で解決するということです。
戦争体験の継承は、戦争を経験した連中だって、まともに継承できていない。これは裏返せば、戦争を経験したから分かる、しないから分からないということじゃないの。戦争が人類にとって重大な問題だと思ったら、若い人は自分で勉強すればいい。そのとき大事なのはなぜ戦争が起きるのか、誰が戦争をしようとするのか、その原因を明確につかむこと。その原因と闘うことだ。若い人がこだわりなく資料を駆使して戦争を探求すれば理解できると思います。
私が一番憎むのは惰性なのよ、今。惰性に流されたらいけない。過ちを犯すよりいけない。やっぱり日本は今、惰性でしょう。なんかね、一番悪いわ。
悪くてもいいから身もだえしてね、何かを試したりね、道を求めるならまだ救いがあるよ。しくじれば反省するもの。今はしくじりようもない。お利口さんになっちゃってね。八つ裂きにでもされるようなバカが出てこないとダメなのよ。戦争を許すような空気を食い止めるために大切なのは、やはり日常だな。人間と人間との関係、コミュニケーションが日ごろからうまくいっていないと、いつの間にか、見ざる、聞かざる、言わざるになってしまう。それは急にはできない。普段やっていないことは非常時体制ではなおさらできないの。今が大事なの。