本日の東京新聞朝刊に、渋谷駅周辺で暮らす路上生活者や困窮者に対して行われていた、渋谷区の美竹公園での炊き出し活動が突然中止に追い込まれたとの記事が掲載されていた。
地理からは少しずれるが、広く捉えれば、都心部のインナーシティ問題のカテゴリーに加えてよいであろう。インナーシティとは、ざっくりまとめると、都心周辺に位置する低所得者層の居住エリアのことである。細くまとめると、大都市の都心周辺に位置し、富裕層の郊外移転に伴い、老朽化した住宅や商店、工場などに低所得層や外国人労働者が流入し、周囲と隔絶したスラム街が形成されると定義される。こうしたインナーシティでは、路上での物売りや靴磨きなど、行政の管轄下にない不安定な就労形態のインフォーマルセクターと呼ばれる人たちが住みつくようになる。
こうした社会学や地理学的な視点に立って、都市問題として捉えるならば、路上生活者自身の自己判断とか自己責任として片付けられない問題としての側面が表れてくる。記事に出てくる支援団体の「のじれん(渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合)」は1998年に結成されている。私の記憶が正しければ、渋谷の公園通りに面した勤労福祉会館で結成式が行われたはずである。支援者と被支援者の一方的な関係に基づいていた「いのけん(渋谷・原宿 生命と権利をかちとる会)」から、当事者を主体とした「のじれん」への衣替えを宣言した結成式に私も同席していたはずである。渋谷まで出掛けて行くのは難しいので、違った形での支援を考えてみたい。